電話は、金曜の夜10時47分に鳴った。「お父さんが自宅で倒れて、救急車呼んだけど…もう、たぶん間に合わない」。妹の声だった。私は葬祭ディレクターとして20年、遺族側の電話をかけてもらう側で仕事をしてきたのに、いざ自分の家族の番になると頭が真っ白になった。玄関で靴を履き間違えた。財布を持たずに車のキーだけ握って、家を出た。
急逝は「準備できない死」だ。病院で徐々に弱っていくのを見守る看取りとは、心の構えがまったく違う。しかも、自宅や職場、旅行先で亡くなった場合、まず来るのは葬儀社ではなく警察になる。検視、事情聴取、遺体の引き渡しまで平均で6〜18時間。その間、遺族は動けない。この記事は、その「動けない時間」に何が起きて、いつ何を決めるかを、現場で年間100件以上見てきた立場から時系列で書く。
先月も、48歳の会社員男性が自宅の風呂場で亡くなった件を担当した。奥さんが夜11時に発見、警察が来たのは11時20分、検視が終わって遺体が搬出できたのは翌朝の8時40分。9時間近く、奥さんは「何もできない状態」で警察官と一緒にリビングにいた。この時間の過ごし方、警察官への受け答え、その間に平行して動かすべき連絡先の順番を知っているかどうかで、その後の1週間が別物になる。
この記事の要点
- 自宅で家族が急に亡くなり、かかりつけ医がいない場合は救急車ではなく警察(110番)を呼ぶのが原則。救急車を呼ぶと、結局警察に連絡が回るため二度手間になる
- 警察が介入する検視・検案には平均6〜18時間かかり、その間、遺体を動かすことも自宅を離れることも原則できない。遠方親族への連絡はこの待機時間中に済ませる
- 警察経由の場合に発行されるのは「死亡診断書」ではなく「死体検案書」(費用相場3〜10万円、自治体・監察医制度の有無で変動)。健康保険や生命保険の請求にはコピー5〜7部が必要
- 葬儀社の手配は警察の許可が出てからでよいが、目星を2社ほど付けておく(相見積もり用)。病院や警察に「専属業者」を勧められても、その場で契約しない
- 親族への訃報連絡は「三親等以内→勤務先→町内会→友人」の順。24時間以内に一斉ではなく、通夜日程が決まってから第二報を入れる二段階方式が現場の定番
まず何が起きるか:発見から遺体引き渡しまでの実時間
身内の急逝で最初にやるべきは、状況を「病死・自然死っぽいか」「事件・事故性があるか」で見分けることではない。それは警察と医師の仕事だ。遺族がまず判断すべきは、かかりつけ医がいるかどうかの一点だけ。定期的に通っていて診療録が2週間以内にある医師がいるなら、まずそこへ電話する。診断書を書いてもらえれば警察介入は避けられる。
それ以外はすべて110番だ。「119番(救急)を先に」と思う人が多いけれど、明らかに息をしていない、体が冷たい、瞳孔が開いている、というような状態なら、救急隊は蘇生を試みたあと結局警察に引き継ぐ。私が担当した2023年秋のケースでは、奥さんが救急を呼んで、救急隊到着まで12分、蘇生確認して警察を呼ぶまでにさらに40分。全部で1時間近くロスした。この間、遺族は救急隊員に呼吸を確認され続け、精神的にすり減る。
警察到着後、遺族がする「3つのこと」
警察官(通常2〜3名、地域課と刑事課)が来たら、まず玄関前で身分証を提示される。この時点で遺族がやるのは3つ。ひとつめ、玄関を開けたら遺体のある部屋には入り直さない。証拠保全のため。ふたつめ、亡くなった家族の保険証・お薬手帳・かかりつけ医の連絡先を手元にまとめる。みっつめ、その場でスマホで葬儀社に電話しない。「まだ検視が終わってないので」と言われて相手も困る。
事情聴取は別室で30〜60分。「最後に生きている姿を見たのはいつ」「持病は」「トラブルはなかったか」を聞かれる。ここは正直に答える。嘘や隠し事があると、事件性を疑われて解剖に回るリスクが上がる。名古屋市の監察医務院データでは、東京23区外の地域では検視から解剖に回る割合が年間で約16%。解剖になると引き渡しがさらに1〜3日延びる。
検視が終わってからの流れ
事件性なしと判断されると、警察が呼んだ嘱託医(または監察医)が死体検案書を作成する。ここで初めて遺体を動かせるようになる。搬送は葬儀社の寝台車、または警察指定の搬送業者。ここが最初の分岐点。「うちで提携している業者を呼びますが」と言われても、契約ではなく搬送だけの依頼にしてもらう。搬送費は都内近郊で1.5〜3万円、地方で2〜4万円。この段階で葬儀プランまで契約する必要はまったくない。
この搬送業者と葬儀社を切り分けるコツについては、以前まとめた病院指定業者を断って搬送だけ頼む具体的な言い方と手順がそのまま応用できる。警察経由でも同じで、「搬送のみお願いします、葬儀は別途相談します」の一言で通る。
警察を呼ぶケースと呼ばなくていいケースの見分け方
結論から言う。かかりつけ医がいて、その先生が2週間以内に診察していて、電話一本で駆けつけてくれるなら、警察は不要。それ以外は全部警察案件。この基準は医師法20条(診察後24時間以内の死亡なら診断書発行可能、それ以外は検案が必要)に基づいている。
迷うのは「介護施設で老衰で亡くなった」「デイサービス帰りに家で倒れた」といった、病死っぽいけれど医師が立ち会っていないケース。この場合、まず施設か本人のかかりつけ医に電話。夜間で連絡がつかなければ110番。判断に迷って15分以上考え込むより、警察に電話して事情を説明し、指示を仰ぐほうが早い。警察も、明らかな病死なら地元の在宅医と連携して検案書を出すルートを持っている。
場所別・警察介入の可能性
| 亡くなった場所 | 警察介入の要否 | 発行書類 | 費用相場 |
|---|---|---|---|
| 病院(入院中) | 不要 | 死亡診断書 | 3,000〜5,000円 |
| 自宅・かかりつけ医あり | 不要 | 死亡診断書 | 5,000〜1万円(往診料込み) |
| 自宅・かかりつけ医なし | 必要 | 死体検案書 | 3〜10万円 |
| 外出先・旅行先 | 必要 | 死体検案書 | 5〜15万円 |
| 事故・不審死の疑い | 必要(解剖の可能性あり) | 死体検案書 | 5〜20万円 |
費用の幅がここまで広いのは、地域によって監察医制度があるか(東京23区・大阪市・名古屋市・神戸市などは公費の要素あり)、解剖の有無、搬送距離で変わるから。私が去年担当した長野の旅行先で亡くなった70代男性のケースでは、検案書だけで8万5千円、遺体搬送(長野→千葉)で28万円かかった。この費用は基本的にその場で現金または後日振込。生前準備で家族に伝えておくべき数字だ。
検視の待機時間、遺族は何をしているか
これが一番大事な話。警察が来て、検視が終わるまでの6〜18時間、遺族は「家族を失った直後」の状態で、警察官と一緒に自宅にいる。この時間の使い方で、その後の葬儀準備の質が変わる。
私が現場で遺族に伝えているのは「連絡する人を紙に書き出す」。スマホの電話帳を上からスクロールして順に電話する、ではなく、まず名前を書き出す。三親等以内の親族、勤務先、町内会長、菩提寺(あれば)、あと2〜3人の親しい友人。書き出すだけで20〜30分かかる。この時間が、頭を少し整理する役目を果たす。
警察待機中にやっておく5つのこと
- 亡くなった家族の身分証・保険証・お薬手帳・年金手帳の場所を確認(葬儀後の手続きで全部使う)
- 三親等以内の親族に「亡くなった」の第一報だけ入れる。葬儀の日程はまだ言わない
- 菩提寺があれば連絡(宗派・戒名の有無をこの時点で確認)
- 葬儀社を2〜3社リストアップ(この時点で契約はしない、あくまで候補)
- 喪主を誰にするか家族内で決める。決めきれなくても「候補は◯◯」まで詰める
親が亡くなった時に手続きが山のように出てくる話は、以前親が亡くなった後の手続きチェックリストでまとめた。検視待機中はこのリストを開いて、必要書類の場所を確認する時間に充てるといい。
連絡する順番と伝え方の実際
訃報連絡は「二段階方式」が現場の常識。第一報は「亡くなった事実」のみ。第二報で「通夜◯日◯時、告別式◯日◯時、場所◯◯」を伝える。第一報と第二報の間は12〜36時間空くことが多い。急逝の場合は検視が終わって葬儀日程が組めるまで、そもそも第二報が出せない。
連絡順位と例文
最優先は三親等以内。兄弟姉妹、故人の親(存命なら)、故人の子ども、孫。この人たちには「◯◯が本日◯時頃、自宅で亡くなりました。今、警察の検視待ちで、詳細は明日ご連絡します」と、事実だけ簡潔に。夜中でも電話でいい。LINEやメールだと気づかれない可能性が高いから。
次が勤務先。故人が現役なら、翌朝一番で上司または人事に電話。「◯◯の家族の△△です。父が昨夜急逝いたしまして、しばらく忌引きで休むことになります。詳細は改めてご連絡します」。会葬者数の見込みを立てるために、勤務先には早めに伝えるのが定石。
友人・知人は第二報から。日程が決まらないうちに連絡すると、相手も予定を組めない。急逝の場合は「病名を聞かれるか」を心配する人が多いけれど、「詳しいことはまた」で十分。無理に説明する必要はない。訃報の文例集は親族・会社・友人への訃報連絡の文例にまとめてあるので参考に。
葬儀社をどう選ぶか、警察介入時の注意点
急逝の場面で一番トラブルが多いのがここ。警察や病院で「搬送業者を呼びますね」と言われたら、それは搬送だけの契約にする。この業者が葬儀社を兼ねている場合、そのまま流れで葬儀契約になりがち。でも、この時点の遺族に相場を判断する余裕はない。私の経験だと、警察経由でそのまま契約した案件と、いったん自宅安置してから2社見積もりを取った案件で、家族葬プランで平均42万円の差が出た。
大事なのは「まず自宅か安置施設に運んでもらう」→「そこから葬儀社を選ぶ」の順にすること。自宅安置なら1日1万円程度の追加負担、葬儀社の安置室なら1日1.5〜3万円。この2〜3日の間に、電話で複数社に見積もりを依頼する。事前相談していれば別だけど、事前準備なしなら最低2社は比較する。
見積もりで確認する3項目
ひとつめ、プラン総額に「追加になる項目」がいくつあるか。安いプランほど追加項目が多い。ドライアイス、返礼品、料理、火葬料、お布施、これらが総額に含まれているかを一つずつ確認する。私が見た最悪のケースは、税抜き表示のプラン48万円が、追加込みで最終127万円になった件。
ふたつめ、担当者の名前と連絡先。会社の代表電話ではなく、担当者個人の携帯。夜中に何か起きた時、担当者と直接話せないと困る。みっつめ、キャンセルポリシー。契約後に別の葬儀社に変えたい場合の違約金がいくらか。ここを最初に確認しておくと、後悔してもリカバリーできる。詳しくは葬儀社選びの事前相談チェックポイントにまとめてある。
死体検案書と死亡診断書の違い、実務での扱い
警察介入の場合に出るのは「死体検案書」。病院で亡くなった場合の「死亡診断書」とは書式は同じ(A3用紙、左半分が死亡届、右半分が診断書または検案書)。中身の記載が違うだけ。役所に出す時は同じ扱い。ただし、以下の実務ポイントを押さえておくと後で楽になる。
まず、コピーを最低5部取る。原本を役所に出すと戻ってこないから。生命保険の請求、遺族年金の申請、銀行口座の凍結解除、簡易保険、勤務先の福利厚生などで、それぞれ1部ずつ必要になる。私は現場で「7部取っておきましょう」と勧めている。コピー1枚の手間で、後々の再発行依頼を回避できる。
次に、死因欄。死体検案書には「不詳」「病死及び自然死」「外因死」などが書かれる。生命保険の請求で、この記載が問題になることがある。特に「不詳」の場合、保険会社が追加調査に入って支払いが2〜3ヶ月遅れることがある。ここは記入した医師や監察医に、死因の追記が可能か確認する余地がある。
死亡届の書き方の細かい話は死亡届の書き方と提出方法完全ガイドで解説している。7日以内に提出する必要があるので、葬儀と並行して忘れずに。
解剖になった時、遺族はどう動くか
検視の結果、死因がはっきりしない場合や、明らかに不審な点がある場合は解剖に回る。解剖には「行政解剖(監察医による、費用は基本公費)」「司法解剖(警察の指示、費用も公費)」「承諾解剖(遺族の同意が必要)」の3種類。遺族が費用負担することは基本的にない。
解剖になると、遺体の引き渡しは翌日以降。地域によっては3日待つこともある。この間、葬儀日程は組めないので、通夜・告別式は解剖後の日程で調整する。遺族が心配するのは「体に大きな傷が残るのでは」だけれど、監察医による解剖は縫合がとても丁寧で、通常の葬儀で参列者から見える顔や手には影響しない。死化粧を含む納棺の工程については納棺の儀式の流れと副葬品リストを参考にしてほしい。
解剖の同意書にサインを求められた時、遺族は動揺している。「これで本当にいいのか」と思う瞬間があるけれど、警察が解剖を必要と判断している場合、遺族が拒否できるケースはほぼない。同意書は形式的なもの。判断を保留したい時は「弟が着くまで待ってほしい」と伝えれば、警察も通常は1〜2時間待ってくれる。
検視から葬儀まで、費用の全体像
急逝の場合、通常の葬儀費用に加えて、警察介入独自の費用がかかる。ここを把握していないと、直後の現金準備で慌てる。
| 費用項目 | 相場 | 支払いタイミング |
|---|---|---|
| 死体検案書発行料 | 3〜10万円 | 現場または後日振込 |
| 遺体搬送費(警察→安置所) | 1.5〜4万円 | 搬送業者に現金または請求書 |
| ドライアイス代(1日) | 8千〜1.5万円 | 葬儀社請求 |
| 安置施設利用料(1日) | 1〜3万円 | 葬儀社請求 |
| 家族葬プラン(一般的) | 60〜150万円 | 葬儀後1週間以内 |
| 火葬料(都市部) | 0〜7.5万円 | 火葬当日 |
| お布施(僧侶手配時) | 15〜40万円 | 初七日または後日 |
合計で、検視→火葬まで最低でも100万円、家族葬で標準的には150〜200万円の現金が2週間以内に必要になる。故人の口座は死亡と同時に凍結される可能性があるので、この費用を遺族の口座から立て替えるケースが多い。銀行口座の凍結解除と仮払い制度については別記事にまとめているので、事前に頭に入れておくと安心。
葬儀費用が用意できない場合の対処法もある。葬儀費用が払えない時の対処法6選で葬祭扶助や葬儀ローンの選択肢を整理してある。急逝でも、後日申請で葬祭費(国保・社保から3〜7万円)は必ずもらえるので、これは忘れずに請求する。
通夜・告別式の日程を組むタイミング
検視・検案が終わって遺体が引き渡されるまでは、日程は仮でしか組めない。実務では「検案書が出たあと、火葬場に電話して空きを確認、そこから逆算して通夜日を決める」の順。都市部では火葬場が混雑していて、平均で亡くなった日から3〜5日先が最短、地方でも2〜3日先になる。友引を避ける地域では、さらに1日延びる。
この待機期間中、遺体はドライアイス、または安置施設の冷蔵設備で保管する。ドライアイスは1日8千〜1.5万円、追加で3日入れば3〜4万円のプラス費用。安置期間が長引くほど負担は増える。ここも見積もり時に「安置1日あたりいくら」を明確に確認する。
喪主が誰になるかは、この日程確定の前に決めておく。通常は配偶者、いなければ長男(または長女)、それも難しければ兄弟姉妹。喪主の役割については喪主の決め方と役割を参照。急逝の場合、高齢の親が喪主を務めるのが体力的に厳しいことがあるので、実質的な段取りは子ども世代が引き受けるケースが増えている。
よくある質問
Q1. 自宅で家族が亡くなっているのを発見したら、まず何番に電話すればいい?
かかりつけ医がいて、2週間以内に診察を受けていた場合はまずかかりつけ医へ。それ以外は迷わず110番。119番(救急)を呼ぶと、蘇生確認後に結局警察に引き継がれるので二度手間になります。触ってしまった、動かしてしまった場合も正直に警察に伝えてください。事件性を疑われて解剖に回る可能性が上がるだけで、隠しても意味はありません。第一発見時の状況をそのまま話すのが一番早く済みます。
Q2. 検視が終わるまで、遺族は家から出られない?
原則、警察の許可があるまでは遺体のある部屋には入り直しません。ただし遺族全員が家に拘束されるわけではなく、事情聴取に答える代表者(通常は第一発見者と配偶者)以外は、別室での待機や、近くのコンビニに買い物に行くくらいは可能です。私が担当したケースでも、警察官と話をしていない家族はリビングで電話連絡をしたり、お茶を沸かしたりしていました。長時間になるので、水分補給と軽食は取ってください。空腹と脱水で倒れる遺族が本当に多いです。
Q3. 警察から「知っている葬儀社を呼びますか」と聞かれたら?
「まだ決めていないので、搬送だけお願いできますか」と答えます。警察は搬送業者のリストを持っていて、そこから1社を呼んでくれます。この搬送業者と葬儀社が同じ会社であることが多いですが、契約は搬送のみで区切ります。「安置してから、葬儀社は改めて選びます」と明言してください。強引に葬儀契約まで進めようとする業者は、その時点で選択肢から外していい兆候です。良心的な業者は搬送だけの依頼でも快く受けてくれます。
Q4. 死体検案書の費用は誰が払う?後で戻ってくる?
費用負担は遺族です。監察医制度のある地域(東京23区、大阪市、神戸市、名古屋市など)では公費部分があり自己負担が少ないですが、それ以外では3〜10万円の実費が原則。この費用は健康保険や葬祭費の対象外なので、戻ってきません。ただし生命保険の請求書類として使う場合、書類代を保険金から差し引く形で相殺できるケースはあります。支払いは現場で現金請求のこともあれば、後日振込のこともあり、地域と医師で異なります。
Q5. 遠方の親族への連絡、深夜に電話していい?
三親等以内なら深夜でも電話してください。LINEやメールだと気づかれない可能性が高く、朝になってから知らせるより、当日中に連絡が来た方が心の準備ができるという声のほうが圧倒的に多いです。ただし、こちらから「今すぐ来て」と言う必要はありません。「亡くなりました。詳細は明日改めます」で十分。相手が翌朝の始発で駆けつけるか、通夜に合わせて来るかは、その人の判断に任せます。三親等より外の親族や友人は、翌朝以降で問題ありません。
Q6. 解剖になったら、遺体の顔は綺麗な状態で戻ってくる?
監察医や大学法医学教室の解剖は非常に丁寧で、通常の葬儀で参列者から見える顔・首・手には影響が出ないよう配慮されます。切開跡は主に胸部から腹部、または頭部(頭皮の下)で、着衣で完全に隠れる範囲。納棺師が入念に化粧と修復を行うので、参列者が見て違和感を持つことはまずありません。ご遺族自身が最後の対面で違和感を感じる可能性はゼロではないので、事前に納棺師や葬儀担当者に「解剖後なので、対面前に確認したい」と伝えておくと安心です。
Q7. 急逝の場合、事前準備がなくて何もかもゼロからです。優先順位は?
優先順位はこの順です。ひとつ、遺体を安置場所に運ぶ(自宅または葬儀社の安置施設)。ふたつ、三親等以内の親族への連絡。みっつ、喪主を決める。よっつ、葬儀社2〜3社に連絡して見積もり依頼。いつつ、菩提寺への連絡(宗教葬の場合)。むっつ、勤務先への連絡。ななつ、死亡届の準備。この順で動けば、急逝でも通夜前日までには全部整います。焦って葬儀社を1社目で決めないこと、これが一番大事です。
最後に、現場で20年見てきた立場から
急逝は準備できないから急逝で、事前に何をどれだけ調べても、その瞬間は頭が真っ白になる。私自身、父が急逝した2019年の秋、20年の現場経験があってもまともに動けなかった。妹に「お姉ちゃん、警察の人が話聞きたいって」と揺すぶられて、やっと立ち上がった。
だから、この記事を読んで全部覚えようとしなくていい。ブックマークして、その時が来たら見返せる場所に置いておく。それだけで十分だと思ってます。急逝は誰にでも起こる。うちの父の時、警察から検案書を受け取るまで13時間かかった。その間、私は妹と、亡くなった父の書斎の椅子に座って、ぼんやりお茶を飲んでいた。何を話したかは覚えてない。ただ、警察官が帰るまで一緒にそこにいてくれた妹には、いまでも感謝してる。
急逝の場面で、遺族に必要なのは完璧な段取りじゃない。誰かがそばにいて、少しずつ物事を決めていける時間。この記事が、その時間を作る助けになればと願ってます。




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