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持病があっても入れる保険の審査基準|引受基準緩和型・無選択型の特徴と注意点

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テーブルに広げた保険資料と老眼鏡、湯気の立つお茶 葬儀の基礎知識・用語集
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「血圧の薬を飲んでるんですけど、こういう状態でも入れる保険ってあるんでしょうかね」。先週、お母様の四十九日を終えたばかりの62歳の娘さんから、打ち合わせの帰り際にぽつりと相談されました。お母様の葬儀費用は約180万円。事前に何の備えもなく、口座凍結のなかで娘さん自身が立て替えた現金でした。次は自分の番だ、子どもに同じ思いはさせたくない、でも糖尿病と高血圧で普通の生命保険は断られてしまった、と。

こういう相談、現場で本当によく受けます。葬祭ディレクターという立場で20年やってきて、保険の細かい商品設計まで詳しいわけではない。でも、ご遺族が「保険金が出てくれたから葬儀の支払いが間に合いました」と泣きながら話してくださる場面に、何度も立ち会ってきました。逆に「契約していたはずなのに、給付の条件に引っかかって1円も出なかった」というトラブルも見てきています。

この記事では、持病があっても加入できる「引受基準緩和型保険」と「無選択型保険」について、何が違うのか、どう選ぶべきか、現場で見てきた失敗例も交えてまとめます。専門の保険知識は別途FPさんに確認していただく前提として、終活の入口の地図にしてもらえたらと思って書きました。

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そもそも「持病があると入れない」のはなぜか

生命保険の根っこにあるのは「健康な人が大勢でお金を出し合って、不幸があった少数の家族を助ける」という仕組み。だから加入時に健康状態を申告する告知義務があって、リスクが高いと判断された人は加入を断られる、もしくは保険料を上げて引き受けることになります。

通常の医療保険・終身保険で加入を断られやすいのは、ざっくり次のような状態の方。糖尿病でインスリン治療中、過去5年以内のがん罹患、脳卒中や心筋梗塞の既往、肝硬変、統合失調症など精神疾患の通院中、直近の入院歴。私の母も60代で乳がんが見つかってから、新規の保険には一切入れなくなりました。健康なうちにと言われ続けてきた意味を、本人が病気になって初めて実感したと話していたのを覚えています。

ただし「入れない」と諦めるのはまだ早い。保険会社は、健康な人向けの商品とは別に、持病がある方向けの商品ラインナップを用意しています。それが引受基準緩和型と無選択型です。

告知義務違反は遺族にとって最悪のシナリオ

持病を隠して通常の保険に入ってしまうケースがあります。これは絶対にやってはいけない。死亡後、保険会社は支払前に病歴の調査を行います。診療報酬明細やカルテをたどれば、告知のときに伏せていた既往が出てくる。そうなると契約解除で、保険金は1円も出ません。

葬儀費用に充てるつもりだった保険金がゼロになり、ご遺族が呆然とする場面を3回ほど見てきました。お一人は、生前のお父様が「家族に迷惑かけないように入っておいた」とおっしゃっていたそうで、息子さんが「父の最後の嘘になってしまった」と泣いていました。健康に不安があるなら、最初から正直に告知して、入れる枠の中で選ぶこと。これが鉄則です。

引受基準緩和型保険とは何か

引受基準緩和型は、その名のとおり「引き受けの基準を緩めた保険」。通常なら数十項目ある告知を、3〜5項目程度のシンプルな質問に絞って、すべて「いいえ」なら加入できる仕組みです。各社で告知内容に細かい違いはありますが、おおむね次のような項目が並びます。

  • 過去3か月以内に医師から入院・手術・検査をすすめられたことがあるか
  • 過去2年以内に病気やけがで入院したこと、または手術を受けたことがあるか
  • 過去5年以内にがん(悪性新生物・上皮内新生物)と診断されたか、または治療を受けたか

高血圧で薬を飲んでいる、糖尿病で通院している、心臓に持病がある、こういった方でも、上の3項目に該当しなければ加入できる可能性がある。これが緩和型の最大の強みです。

保険料は通常型より1.5〜2倍が相場

当然ですが、リスクが高い人を引き受けるぶん保険料は割高。同じ年齢・同じ保障額で比べると、健康な方が入る通常型の1.5倍から2倍ほどになるイメージです。たとえば65歳女性が死亡保障300万円の終身保険に入るとして、通常型なら月額9,000円前後で済むところ、緩和型だと月額13,000〜18,000円といったレンジに上がります。

この差をどう見るか。月々5,000円の上乗せで、自分が亡くなったとき家族が葬儀費用に困らないなら、安いと考える方も多い。実際、葬儀費用の全国平均は家族葬で約120万円、一般葬で約190万円。火葬式だけの直葬でも30〜40万円はかかります。葬儀費用そのものをどう抑えるかは別の論点で、格安葬儀社3社の料金プラン比較でも触れているので合わせて確認しておくと、いくらの保障を準備すべきかの目安が立ちます。

「削減期間」がある商品に注意

緩和型でよくある落とし穴が「削減期間」。契約から1年以内に亡くなった場合、保険金は契約額の50%しか支払われない、という条件が付いていることがあります。たとえば300万円の死亡保障で契約しても、入って半年で亡くなったら150万円しか出ない、ということ。

近年は「契約初日から満額」をうたう商品も増えてきました。パンフレットの隅々まで読んで、削減期間があるかどうかは必ず確認すること。営業の方に口頭で聞くのも有効です。「初年度に亡くなった場合、契約金額の何割が支払われますか」と具体的に聞けば、はぐらかされません。

無選択型保険とは何か

無選択型は、告知や医師の診査が一切いらない保険。健康状態を聞かれずに、年齢条件さえクリアすれば誰でも入れる。これが特徴です。緩和型でもまだ加入を断られる、現在進行形でがん治療中、寝たきりで在宅療養中、こういった方の最後の選択肢として用意されています。

ただし、いいことばかりではない。保険会社からすれば「リスクの実態が分からないまま引き受ける」わけなので、その代わりとして保険料はかなり高く設定されています。緩和型のさらに1.5倍程度、通常型と比べると2〜3倍になることも珍しくない。

保障額の上限が低い

無選択型は、契約できる保障額の上限も低めに抑えられています。死亡保障で100万〜300万円程度が一般的。葬儀費用と少しの後始末分、というイメージです。一般葬で大きな葬儀を出したい、子どもの教育費まで残したい、そんな用途には足りません。

逆に言えば「家族葬や直葬の費用を自分で準備して、子どもに迷惑をかけたくない」という最低限の目的には十分機能します。直葬の流れと費用感は葬儀をしない直葬の費用と流れに詳しくまとめたので、保障額をいくらに設定すべきか迷ったら参考にしてみてください。

既往症の悪化による死亡は対象外のことが多い

もうひとつ重大な注意点。無選択型は、契約時点で既にかかっている病気が原因で亡くなった場合、保険金が支払われない、または減額される条件が付いていることが多い。たとえば契約時点で肝硬変を患っていて、その肝硬変が悪化して死亡した場合、満額は出ない。事故や、契約後に新たに発症した別の病気が原因なら満額、というケースが一般的です。

これ、葬儀の現場でいちばんトラブルになる部分。「無選択型だから何でも出るはずだ」と思い込んでいたご家族が、保険会社から「お父様の死因は契約時の既往症によるものなので、所定の金額のみのお支払いになります」と告げられて、葬儀費用が足りなくなる。契約前に約款の「責任開始期の特約」「既往症免責」の項目は必ず確認すべきです。

緩和型と無選択型の違いを表で整理

3つのタイプを並べて比べると、自分がどこに入れるか、どの選択肢を検討すべきかが見えてきます。下の表は、65歳女性が死亡保障300万円の終身保険に加入すると仮定した場合の目安です。実際の保険料は各社・各商品で異なるので、見積もりは必ず複数社で取ってください。

項目通常型引受基準緩和型無選択型
告知項目20〜30項目3〜5項目なし
医師の診査金額により必要不要不要
保険料目安(月額)8,000〜10,000円13,000〜18,000円18,000〜25,000円
保障額の上限数千万円まで500万円程度300万円程度
削減期間なし商品により1年商品により2年
既往症の扱い告知通り審査原因問わず満額既往症は減額
向いている人健康な60代まで持病あり通院中緩和型も断られた方

表を見ると分かるとおり、上から下に行くほど「入りやすくなるけど、その代わり高くなる・条件が厳しくなる」というトレードオフ。まずは通常型に挑戦して、ダメなら緩和型、それも断られたら無選択型、という順番で検討するのが基本ルートです。

どんな状態の人にどの保険が向くか

もう少し具体的に、現場で相談を受けてきたケースを紹介します。あくまで葬祭ディレクターから見たざっくりの判断軸なので、最終的な加入可否は各社の審査次第ですが、目安として参考にしてください。

通常型を狙えるケース

高血圧で薬を飲んでいるけど数値は安定している、軽度の脂質異常症、軽い花粉症やアレルギー、過去にがんになったが完治して10年以上経過、こういった方は通常型でも引き受けてもらえる可能性があります。最近は「特定の持病があっても割増保険料で引き受ける」という柔軟な対応をする会社も増えてきました。まずは諦めずに通常型で見積もりを取ってみる価値があります。

緩和型がフィットするケース

糖尿病でインスリン治療中、心房細動で投薬中、軽度の腎機能障害、5年以上前のがん治療経験、過去2年以内に入院歴あり。このあたりの方は、通常型では断られるケースが多い。緩和型なら「過去3か月以内に入院・手術をすすめられていない」「過去2年以内に入院していない」など、現在進行形で症状が落ち着いていれば加入できる商品が見つかります。

葬儀社の互助会積立や事前相談と組み合わせて、緩和型保険の保障額を「葬儀費用+お墓代+死後の事務手続き費用」の合計に設定するのが現実的。終活全般の進め方は40代から始めるプレ終活ガイドでも整理しているので、保険だけでなく全体像から逆算するのがおすすめです。

無選択型を選ばざるを得ないケース

現在進行形でがん治療中、透析中、認知症の診断あり、肝硬変など重い肝疾患、過去1年以内の入院歴あり。緩和型でも引き受けてもらえないケースでは、無選択型しか選択肢が残らないこともあります。透析を受けている方の生活実態については人工透析と余命・仕事との両立にまとめましたが、医療費負担に加えて葬儀費用の準備をどうするかは、本人にもご家族にも重い課題です。

無選択型を検討する場合は、保険以外の選択肢も並行して考えるべき。葬儀社の互助会積立、自治体の生活保護制度における葬祭扶助、預貯金の一部を葬儀費用として家族と共有しておく、こういった複数ルートで備えるほうが現実的なケースも多いです。

告知書を書くときに気をつけたい5つのこと

緩和型でも告知は必要。3〜5項目だから簡単と思って雑に書くと、後から契約解除につながります。20年の葬祭現場で見てきた告知トラブルから、特に気をつけてほしいポイントを挙げておきます。

  • 「医師にすすめられた」検査・手術は、受けていなくても告知対象。健康診断で要再検査と言われた、専門外来を紹介された、これらもカウントされます
  • 過去2年の入院歴は、原因を問わず申告。骨折で1週間入院、出産で1週間入院、これも入院は入院です
  • がんの告知は「上皮内新生物」も対象。子宮頸がんの上皮内、胃の早期がんなども含まれます
  • うつ病や不眠症で精神科・心療内科に通院した経験は隠さない。給付制限の対象になりやすい項目です
  • 分からないことは保険会社のコールセンターに匿名で確認できる。書類を出す前に電話で「こういう既往があるんですが告知対象ですか」と聞けば教えてくれます

告知書は、本人が記入するのが原則。家族が代筆すると、後で「本人は知らなかった」と争いになることがあります。手が震えて書けない場合は、保険会社の担当者に立ち会ってもらって、口頭での回答を記録に残してもらう方法もあるので相談してみてください。

保険だけに頼らない備え方

持病があると保険料が高くなる。それでも家族に迷惑をかけたくない。この板挟みで悩むご相談者には、保険以外の選択肢も合わせて提案するようにしています。

葬儀社の事前相談と見積もり

元気なうちに葬儀社に相談して、自分の希望する葬儀のかたちと総額を出してもらう。これだけで、家族の不安はかなり減ります。「家族葬で50万円のプランを希望」と紙に書いて残しておけば、ご家族はその金額を目安に動けます。私の担当したご家族でも、お父様が事前相談で残してくれたメモのおかげで、混乱なく送り出せたケースがいくつもありました。

互助会積立

毎月3,000〜5,000円を積み立てて、満期になったら葬儀費用に充当できる仕組み。健康状態を問われないので、持病があっても加入できます。ただし解約時の返戻金や、想定外の追加費用、互助会の倒産リスクなど、注意点もあります。互助会のトラブルについてはさがみ典礼の互助会解約トラブル事例で具体例をまとめているので、加入前に目を通しておくと判断材料が増えます。

預貯金の見える化

「葬儀費用としてこの口座に200万円残してあります」と家族に伝えておくだけでも、いざという時の負担が違います。ただし口座は死亡と同時に凍結されるので、現金として手元に置く、家族の口座に贈与しておく、仮払い制度を使う、こういった工夫も合わせて考える必要があります。仮払い制度については銀行口座凍結の解除手続きガイドで詳しく解説しています。

エンディングノートに保険情報を書き残す

せっかく保険に入っても、家族がその存在を知らなければ請求すらされません。実際、私が担当した80代男性のご葬儀で、後日になって息子さんが書斎の引き出しから古い保険証券を見つけ、慌てて請求して400万円が下りた、というケースがありました。エンディングノートに加入している保険会社名・証券番号・連絡先・受取人を書き残しておけば、こういう取りこぼしは防げます。

よくある質問

Q1. 緩和型と無選択型、両方契約することはできますか

制度上は可能ですが、保険会社によっては合計保障額に上限を設けていることがあります。また、保険料がダブルでかかるので、家計に与える負担も大きい。緩和型で加入できるなら緩和型1本に絞ったほうが、保険料効率はいいです。両方契約するメリットがあるのは、緩和型の保障額上限を超える備えが必要な、ごく限られたケースだけだと思っておいてください。

Q2. 70代後半でも入れる保険はありますか

緩和型は満85歳まで、無選択型は満80歳まで加入可能、というのが一般的なレンジ。商品によっては満89歳までOKというものもあります。ただし高齢になるほど保険料は割高になり、月額3〜4万円という商品も珍しくありません。家計と相談しながら、保障額を200万円程度に抑えて月額1万円台に収めるのが現実的なところです。

Q3. 緩和型に入った後、健康状態が改善したら通常型に切り替えできますか

緩和型から通常型への自動切り替えという仕組みはありません。改めて通常型に新規申し込みして、告知をクリアして、加入できれば切り替え、という流れになります。新規加入時の年齢で保険料が再計算されるので、年齢が上がっているぶん高くなる可能性も。手間とコストを考えると、いったん緩和型で加入したらそのまま続ける方が多いです。

Q4. 認知症の親が緩和型に加入することはできますか

認知症の診断を受けている場合、本人の意思確認ができないため、緩和型でも加入は難しいのが現実です。無選択型なら告知不要なので加入の道は残っていますが、本人が契約の意味を理解して署名する能力が必要になります。成年後見人が代わりに契約するのも、保険契約は身上監護の範囲を超えるため簡単ではありません。診断が出る前に、できれば軽度の段階で備えを始めるのが理想です。

Q5. 死亡保険金は相続税の対象になりますか

受取人が法定相続人になっている死亡保険金には「500万円×法定相続人の数」の非課税枠があります。たとえば配偶者と子ども2人なら1,500万円までは相続税がかかりません。葬儀費用の備えとしての保険金額(200〜500万円程度)であれば、ほとんどのケースで非課税枠に収まります。受取人を誰にするかで税金の扱いが変わるので、契約時に確認しておきましょう。

Q6. 保険会社が破綻したら、契約した保険はどうなりますか

生命保険契約者保護機構という公的なセーフティネットがあって、責任準備金の90%まで保護されます。ゼロにはならないけれど、保障額が削減される可能性はあります。緩和型・無選択型を扱っている会社の財務健全性は、ソルベンシー・マージン比率という指標で確認できます。複数社の見積もりを取るときに、この数値もチェックしておくと安心です。

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