【保存版】親が亡くなったらまずすること完全ガイド|葬儀のプロが教える「最初の1時間」の動き方と心構え
【保存版】親が亡くなったらまずすること完全ガイド|葬儀のプロが教える「最初の1時間」の動き方と心構え
「その時」は、ある日突然訪れることもあれば、長い闘病の末に静かにやってくることもあります。
こんにちは。葬儀プランナーとして15年以上、数多くのお見送りをお手伝いさせていただいている佐々木と申します。私自身も一人の息子を持つ母であり、また数年前に実父を見送った経験を持つ遺族の一人でもあります。
深夜の電話、モニターの電子音、医師の宣告。親御様が亡くなられた直後、悲しみに浸る間もなく、ご家族には「決断」と「行動」が求められます。頭が真っ白になってしまうのは当たり前です。そんな時こそ、私たち専門家を頼っていただきたいのですが、まずはご自身で把握しておかなければならない「最初の動き」があります。
この記事では、業界の裏も表も知り尽くした私が、親御様が亡くなられた直後の「最初の1時間」に焦点を当て、絶対にやるべきこと、やってはいけないことを、母のような気持ちで分かりやすく解説します。どうか、深呼吸をして読み進めてください。
1. 慌てないで!親が亡くなった直後の状況整理
「ご臨終です」と告げられた瞬間、時間は止まったように感じるかもしれませんが、現実は驚くほど早く動き出します。まずは、親御様がどこで最期を迎えられたかによって、最初の対応が大きく異なります。
病院で亡くなられた場合
現在の日本では約7割以上の方が病院で亡くなります。病院で亡くなられた場合、医師がその場で死亡確認を行い、看護師による死後の処置(エンゼルケア)が行われます。
- 医師による死亡確認:死亡時刻が告げられます。これが後に死亡診断書に記載される時間となります。
- 末期の水(死に水):ご家族の手で、故人の唇を水で湿らせる儀式を行うことが多いです。
- エンゼルケア:身体を清め、着替えを行います。この間、ご家族は病室の外で待機するか、または支払いの準備などを案内されることがあります。
【プロのアドバイス】
この時間は約30分〜1時間程度です。この時間が、ご家族が心を落ち着け、次の行動(葬儀社への連絡など)を考えるための唯一の猶予時間となります。
ご自宅で亡くなられた場合(看取り)
かかりつけ医による訪問診療を受けていた場合は、すぐに主治医へ連絡してください。医師が駆けつけ、死亡を確認すれば、病院と同様に死亡診断書が発行されます。
突然死・事故・孤独死の場合(警察介入の可能性)
かかりつけ医がおらず、自宅で亡くなっているのを発見した場合や、事故死の場合は、絶対に遺体を動かしてはいけません。
すぐに警察(110番)へ連絡してください。警察医による検視が必要となります。「事件性がないか」を確認するためであり、これは法律で定められた手続きです。動かしてしまうと証拠隠滅を疑われる可能性があります。
2. 【チェックリスト】最初の1時間でやるべき3つのこと
状況が把握できたら、具体的な行動に移ります。あれもこれもと考える必要はありません。まずは以下の3点に集中してください。
① 近親者への連絡(「今すぐ来てほしい人」だけ)
最初の1時間で連絡すべきなのは、「最期に立ち会ってほしかった人」や「搬送や安置の手伝いが必要な家族」だけです。
会社関係や友人、遠方の親戚への連絡は、葬儀の日程が決まってからで十分間に合います。深夜や早朝であればなおさら、相手を起こしてしまうことを避けるためにも、本当に必要な家族だけに連絡を留めましょう。
連絡時のテンプレート
「〇〇です。先ほど、(父/母)が息を引き取りました。これから自宅(または安置場所)へ戻ります。詳細は追って連絡しますが、まずは一報を入れました。」
② 搬送先(安置場所)の決定
ここが一番の難関です。病院の霊安室には、数時間程度しかいられません。「なるべく早く連れて帰ってください」と促されるのが一般的です。そのため、遺体をどこへ連れて行くか(安置するか)を決める必要があります。
- 自宅:住み慣れた我が家に帰してあげたい場合。ただし、お布団を敷くスペース(6畳程度)と、搬入経路(エレベーターや階段の幅)の確保が必要です。
- 葬儀社の安置施設:マンション事情や家の片付けが間に合わない場合、または近隣に知られたくない場合は、専用の安置施設を利用します。
③ 葬儀社への遺体搬送依頼
搬送先が決まったら、寝台車の手配が必要です。ここで注意が必要なのは、「病院紹介の葬儀社にそのまま依頼しなくても良い」ということです。
病院が紹介してくれる葬儀社は、あくまで「搬送」をスムーズに行うための提携業者です。もちろんそのまま葬儀を依頼することも可能ですが、もし事前に決めている葬儀社がある場合や、インターネットで探した葬儀社が良い場合は、そちらに連絡して「搬送だけ」をお願いすることも可能です。
「とりあえず自宅まで搬送をお願いします」と伝えれば、深夜でも早朝でもすぐに駆けつけてくれます。これが私たち葬儀社の最初の仕事です。
3. 葬儀社への電話で伝えるべき5つの情報
いざ葬儀社に電話をかける時、手が震えて上手く話せないかもしれません。私たちオペレーターやスタッフは慣れていますので、焦らなくて大丈夫です。以下の情報が手元にあるとスムーズです。
- 故人の名前:漢字も確認されます。
- 現在地:病院名、病棟、部屋番号など。
- 連絡者(あなた)の名前と連絡先:携帯電話番号がベストです。
- 搬送先(安置場所):決まっていなければ「相談したい」と伝えればOKです。
- お迎えの希望時間:「今すぐ」か「処置が終わる〇時ごろ」か。
この電話一本で、プロのスタッフが動き出し、その後の流れをすべてリードしてくれます。ここからは、一人で抱え込まず、私たちを頼ってください。
4. 意外と知らない「死亡診断書」の重要性
医師から渡される「死亡診断書」は、この後の手続きすべてにおいて最も重要な書類です。原本は1通しか発行されませんが、手続きには複数枚必要になります。
絶対にやってほしいこと:コピーをとる
役所へ「死亡届」として提出すると、原本は手元からなくなります(返却されません)。しかし、その後の生命保険の請求や銀行口座の凍結解除などで、死亡診断書のコピーや記載内容が必要になる場面が多々あります。
受け取ったらすぐに、少なくとも5枚〜10枚程度コピーをとってください。コンビニに走る余裕がない場合は、スマホで鮮明な写真を撮っておくだけでも、後で内容を確認するのに役立ちます。
5. 自宅安置の場合の準備と注意点
「家に連れて帰る」と決めた場合、お迎えの車が到着するまでに、ご自宅で準備できることがあります。
お部屋の片付けと動線の確保
故人はストレッチャー(担架)に乗せられて帰宅します。玄関から安置する部屋までの廊下やドア周辺に、障害物がないか確認してください。
敷布団の準備
ベッドではなく、畳や床に敷布団を敷いて安置するのが一般的です(仏式の場合、北枕または西枕にします)。シーツは白が望ましいですが、なければ薄い色の清潔なもので構いません。掛け布団は、普段使っていた愛用のものでも大丈夫です。ご自身の匂いが染み込んだ布団の方が、故人も落ち着くかもしれませんね。
温度管理
ご遺体の状態を守るため、お部屋はできるだけ涼しく保ってください。冬場なら暖房を切り、夏場なら冷房を強めに入れます。ドライアイスなどの保冷処置は、到着した葬儀スタッフが行います。
6. メンタルケア:感情の波に溺れないために
実務的な話をしてきましたが、何より大切なのは、残されたご家族、特に喪主となられる方の心のケアです。
40代、私と同世代の皆様は、親の死に対して「覚悟していた」つもりでも、実際に直面すると想像以上の喪失感に襲われます。また、「しっかりしなきゃ」「私がやらなきゃ」と気負いすぎてしまう傾向にあります。
泣いてもいいし、何もできなくてもいい
最初の数時間は、アドレナリンが出ていて涙が出ないこともあります。逆に、腰が抜けて立てなくなることもあります。どちらも正常な反応です。
「今は悲しむ時間がないから」と感情を押し殺すと、葬儀が終わった後に強烈な揺り戻し(グリーフ)が来ることがあります。スタッフが到着したら、実務は彼らに任せて、数分でも良いので故人の手を握り、静かに語りかける時間を持ってください。
7. よくある質問(Q&A)
Q. 病院の提携葬儀社を断っても失礼になりませんか?
A. 全く問題ありません。「すでに決めている葬儀社がありますので」と伝えれば、病院側も慣れていますのでスムーズに対応してくれます。毅然とした態度で断って大丈夫です。
Q. お金(現金)はすぐに必要ですか?
A. 搬送の時点で多額の現金が必要になることは稀です。病院の入院費用の精算も後日振込やカード払いが可能なケースが多いですし、葬儀社への支払いも葬儀終了後が一般的です。ただし、お布施(お寺様へのお礼)などが必要になる場合もあるため、手元の現金を確認しておくことは大切です。
Q. 遠方の親戚にはいつ連絡すべきですか?
A. 葬儀の日程と場所が決まってからで大丈夫です。「亡くなったこと」と「葬儀日程」を一度に伝えた方が、相手にとっても予定が立てやすく、連絡する側の負担も減ります。
8. まとめ:最初の1時間を乗り越えたら
親が亡くなった直後の「最初の1時間」は、一生の中でも特に濃密で、混乱に満ちた時間です。しかし、以下の3点を押さえておけば、大きなトラブルは防げます。
- まずは深呼吸して落ち着く
- 近親者だけに連絡し、搬送先(自宅か施設か)を決める
- 葬儀社に電話して「お迎え」を依頼する
ここから先は、私たち葬儀のプロフェッショナルが黒子となって支えます。日程の調整、お寺様への連絡、役所手続き、葬儀のプランニング……すべて一つひとつ、丁寧にガイドさせていただきます。
「いいお葬式だったね」と後で思えるように。まずは今、目の前の親御様のお顔を見て、心の中で「お疲れ様」と声をかけてあげてください。
あなたが後悔のないお別れができるよう、この記事が少しでも支えになれば、同じ子を持つ母として、これほど嬉しいことはありません。



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