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孤独死・身寄りがない人の葬儀はどうなる?行旅死亡人の扱いから納骨、死後事務委任まで完全解説

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薄暗い部屋の窓辺に置かれた一輪の花と、役所の書類、古い時計が並んでいる様子。孤独死と行政手続きを象徴する静謐なイメージ。 葬儀の基礎知識・用語集
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孤独死・身寄りがない人の葬儀はどうなる?行旅死亡人の扱いから納骨、死後事務委任まで完全解説

孤独死・身寄りがない人の葬儀はどうなる?行旅死亡人の扱いから納骨、死後事務委任まで完全解説

「もし自分が一人で亡くなったら、誰が葬儀をしてくれるのだろうか?」
「疎遠だった親戚が孤独死したと警察から連絡が来たが、どうすればいいのか?」

核家族化と単身世帯の増加に伴い、誰にも看取られずに亡くなる「孤独死(孤立死)」は、今や誰にとっても他人事ではない社会問題となっています。身寄りがない、あるいは親族と疎遠である場合、亡くなった後の遺体の引き取り手がおらず、最終的にどのような扱いを受けるのか不安に感じる方は少なくありません。

本記事では、身寄りがない人が亡くなった際の法的な扱いや「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」の定義、葬儀・火葬から納骨までの行政フロー、そして自分が「無縁仏」にならないために生前にできる対策について、専門的な見地から網羅的に解説します。

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孤独死発生から葬儀までの初期対応フロー

まずは、一人暮らしの方が亡くなっているのが発見された場合、どのような手順で事態が進んでいくのか、初期対応の流れを整理します。

1. 発見と警察への通報

孤独死の多くは、近隣住民による異臭の通報や、家賃滞納による管理会社の訪問、あるいは離れて暮らす家族からの連絡が途絶えたことによる安否確認で発覚します。発見時、すでに心停止している場合や死後日数が経過している場合は、救急車ではなく警察が介入します。

2. 検視と身元確認

警察は「事件性の有無」を確認するために検視を行います。犯罪に巻き込まれた可能性がないと判断されれば、死因を特定し、身元の確認作業に入ります。

  • 身分証明書の確認:運転免許証、保険証、マイナンバーカードなど。
  • 指紋照合・DNA鑑定:遺体の損傷が激しい場合や身分証がない場合に行われます。
  • 家宅捜索:室内の遺留品から親族の連絡先を探します。

3. 親族への連絡(遺体引き取りの打診)

身元が判明した場合、警察は戸籍をたどり、推定相続人や親族(主に3親等以内)に連絡を入れます。ここで「遺体を引き取って葬儀を行う意思があるか」が確認されます。

注意点:
法律上、親族であっても遺体の引き取りを拒否することは可能です(※自治体や条例により解釈が異なる場合がありますが、強制力は弱いのが実情です)。「長年疎遠だった」「金銭的な余裕がない」などの理由で、遺体の引き取りが拒否されるケースが増加しています。

身寄りがない・引き取り手がいない場合の扱い

親族がいない場合、あるいは親族全員が遺体の引き取りを拒否した場合、その遺体は法律に基づき行政の手によって処理されることになります。ここでは「行旅死亡人」という重要な概念について解説します。

「行旅死亡人(こうりょしぼうにん)」とは?

行旅死亡人とは、法律(行旅病人及行旅死亡人取扱法)に基づき、以下の条件に当てはまる死者を指します。

  • 病気や行き倒れなどで亡くなり、引き取り手がいない人
  • 氏名や住所が不明で、身元が分からない死者

しかし、現代の実務においては、身元が判明していても引き取り手がいない場合、この法律を準用して自治体が対応するケースが一般的です(これを「行旅死亡人に準ずる扱い」と呼ぶこともあります)。

官報への掲載

行旅死亡人として扱われた場合、市町村長は遺体の状況や所持品などを「官報」に掲載し、身元を知る人や引き取り手を待つことになります。しかし、現実的に官報を見て遺族が現れるケースは極めて稀です。

葬儀・火葬は誰が行うのか?費用は?

引き取り手がいない遺体は、最終的に誰が葬儀を行い、その費用はどうなるのでしょうか。

自治体による直葬(火葬のみ)

身寄りのない遺体は、死亡地の自治体(市区町村)が責任を持って火葬を行います。この際、通夜や告別式といった宗教的な儀式は行われません。必要最低限の処置として、遺体を棺に納め、火葬場へ搬送し、焼却する「直葬(ちょくそう)」の形式がとられます。

費用の負担元と「葬祭扶助」

火葬にかかる費用は、原則として故人の財産から充当されます(所持金や預貯金など)。しかし、故人に財産が全くない場合は、以下の法律に基づいて公費で賄われます。 墓地、埋葬等に関する法律(墓埋法)第9条 身元不明などの理由で引き取り手がいない遺体については、死亡地の市町村長が埋葬または火葬を行わなければならないと定めています。 生活保護法による「葬祭扶助」 故人が生活保護受給者であった場合や、遺族が困窮しており葬儀費用を捻出できない場合、国が定める範囲内(20万円程度までが一般的)で葬儀費用(検案、運搬、火葬、骨壺代など)が支給されます。

納骨先はどうなる?「無縁仏」のゆくえ

火葬が終わった後、遺骨はどこへ行くのでしょうか。引き取り手が現れない限り、個別の墓に入ることはできません。

一定期間の保管

火葬後、すぐに合祀(ごうし:他の人の遺骨と一緒に埋葬すること)されるわけではありません。多くの自治体では、一定期間(例:5年~10年程度)、市営の納骨堂や保管庫で遺骨を個別に保管します。これは、後になって親族が現れ、遺骨の引き渡しを求められた場合に対応するためです。

無縁塚(合葬墓)への埋葬

保管期間が過ぎても引き取り手が現れない場合、遺骨は「無縁塚」や「合葬墓」と呼ばれる共同の墓地に移されます。ここで初めて、他の多くの無縁仏と一緒に土に還ることになります。

重要:一度合祀されてしまうと、後から親族が現れても、特定の個人の遺骨だけを取り出すことは物理的に不可能になります。

自分が「無縁仏」にならないための生前対策

「死後、誰にも迷惑をかけたくない」「見ず知らずの人と混ぜられて埋葬されるのは寂しい」と考える場合、元気なうちに法的・実務的な準備をしておく必要があります。これを「終活」の一環として捉えましょう。

1. 死後事務委任契約の締結

これが最も確実な方法です。司法書士や弁護士、あるいは専門のNPO法人などと「死後事務委任契約」を結びます。

この契約では、以下の内容を第三者に依頼し、生前に費用を預けておくことができます。

  • 遺体の引き取りと葬儀の手配
  • 火葬および納骨の手配(希望する墓地や永代供養墓への埋葬)
  • 行政機関への届出(死亡届の提出、健康保険の資格喪失手続きなど)
  • 家財道具の処分や賃貸物件の解約
  • SNSアカウントの削除やデジタル遺品の整理

2. 遺言書の作成

財産の処分方法については遺言書が有効ですが、葬儀や納骨に関する希望は「付言事項」として記載しても法的効力が弱い場合があります。遺言書と死後事務委任契約をセットで作成するのが理想的です。

3. 永代供養墓の生前予約

自分が入るお墓を自分で決めておき、生前にお金を払っておく方法です。寺院や霊園によっては、死後の遺体搬送や納骨までセットになったプランを提供しているところもあります。契約書や会員証を分かりやすい場所に保管し、信頼できる知人や専門家にその存在を伝えておくことが重要です。

4. エンディングノートの活用

法的効力はありませんが、発見者に自分の意思を伝えるための重要なツールです。「どこの葬儀社を使ってほしいか」「誰に連絡してほしいか(あるいはしてほしくないか)」などを記載し、目立つ場所に置いておきましょう。

賃貸オーナー・管理会社向け:入居者が孤独死した場合

最後に、視点を変えて、賃貸物件の入居者が身寄りなく亡くなった場合のオーナー側の対応についても触れておきます。

勝手に荷物を処分するのは違法

たとえ連帯保証人がいなくても、入居者が亡くなったからといって、オーナーが勝手に室内の荷物を処分することはできません。相続人がいる可能性があるため、勝手な処分は損害賠償請求のリスクがあります。

相続財産清算人の選任

相続人全員が相続放棄をした場合や、相続人が全くいない場合は、家庭裁判所に申し立てて「相続財産清算人」を選任してもらう必要があります。この清算人が故人の財産を整理し、未払いの家賃などを清算した上で、残置物の撤去を行います。

残置物の処理等に関するモデル契約条項

国土交通省は、単身高齢者の入居を円滑にするため、入居時に「死後の残置物処理」についてあらかじめ委任契約を結ぶことができるモデル条項を策定しています。これを利用することで、万が一の際のリスクを軽減できます。

まとめ:孤立を防ぎ、最期をデザインする

身寄りがない人の葬儀は、法的には「行旅死亡人」またはそれに準ずる扱いとなり、最終的には自治体の手で火葬・合祀されます。それは決して「見捨てられる」ことではありませんが、自分らしい最期を迎えたい、特定の場所に眠りたいという希望がある場合は、行政任せにするのではなく、自発的な準備が不可欠です。

現代において「身寄りがない」ことは珍しいことではありません。重要なのは、それを悲観することではなく、元気なうちに「死後事務委任契約」などを活用し、自分の死後を誰に託すかを決めておくことです。

次のアクション

ご自身の将来に不安がある方は、まずはお近くの司法書士行政書士、または自治体の福祉窓口に相談し、「死後事務委任」について情報を集めることから始めてみてはいかがでしょうか。

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