【現役ベテラン解説】セレモニースタッフの仕事内容は?配膳・案内だけではない「心」に寄り添うプロの全貌とやりがい
【現役ベテラン解説】セレモニースタッフの仕事内容は?配膳・案内だけではない「心」に寄り添うプロの全貌とやりがい
「セレモニースタッフ」という求人を見て、皆さんはどんなイメージを持ちますか?
「お葬式の受付?」「食事を運ぶ人?」「なんとなく暗くて大変そう…」
そんな風に思っている方も多いかもしれません。
はじめまして。葬儀業界に入って早10年、40代の現役セレモニースタッフです。
私には一人息子がいますが、子育てと両立しながらこの仕事を続けてこられたのは、この仕事が単なる「作業」ではなく、人の心に深く触れる尊い仕事だからです。
今日は、求人票の文字だけでは伝わりきらない、セレモニースタッフの「本当の仕事内容」と、私たちが大切にしている「気配りの真髄」について、現場の空気を交えてお話しします。
これからお仕事を始めようか迷っている方の背中を、少しでも押すことができれば嬉しいです。
1. セレモニースタッフとは?配膳係との決定的な違い
まず結論からお伝えすると、セレモニースタッフは「儀式の進行を支え、ご遺族の悲しみに伴走する黒子のプロフェッショナル」です。
一般的に「セレモニースタッフ」というと、結婚式(ブライダル)と葬儀(フューネラル)の両方を指すことがありますが、多くの求人や一般的な認識では「葬祭スタッフ(葬儀のアシスタント)」を指すことが多いです。今回の記事でも、より専門性と気配りが求められる「葬儀のセレモニースタッフ」を中心にお話しします。
ただの「配膳・案内」ではありません
確かに、業務の中には「お茶出し」「お食事の配膳」「会場のご案内」が含まれます。しかし、レストランやホテルのサービスと決定的に違うのは、お客様が「深い悲しみの中にいる」という点です。
元気な声で「いらっしゃいませ!」と言うことはありません。
求められるのは、その場の空気を読み、言葉にならない要望を察知する力。
私たちは、式が滞りなく進むように物理的に動くだけでなく、ご遺族が故人様とのお別れに集中できる環境を「空気感」から作り出しているのです。
2. 具体的に何をするの?時系列で見る業務フロー
では、実際の一日の流れに沿って、具体的な業務を見ていきましょう。
お通夜や告別式の規模によって変わりますが、基本的には以下のような動きになります。
① 会場準備・設営(開式1〜2時間前)
スタッフは早めに会場入りし、準備を始めます。
- 清掃・整頓:ロビー、式場、控室の掃除。チリ一つない状態にします。
- 備品の確認:受付用品(ペン、芳名帳)、焼香台の準備、返礼品の数確認。
- お茶場の準備:参列者にすぐにお茶が出せるよう、湯沸かしや急須の準備をします。
【ベテランの視点】
「ただ物を置く」だけではありません。高齢の参列者が多い場合は椅子の配置を少し広めにしたり、冬場なら控室の温度を早めに上げておいたりと、来場者を想像して準備をします。
② 受付・ご案内(開式前)
参列者が到着し始めると、最も忙しい時間帯になります。
- 参列者の誘導:駐車場から入り口、受付、式場への動線案内。
- クローク業務:コートや荷物のお預かり。
- 受付補助:記帳の案内や、香典の受け渡しサポート。
ここでは、初めて葬儀場に来て戸惑っている方に、いかに安心感を与えられるかが勝負です。目線を合わせ、落ち着いたトーンで「こちらでございます」と手を差し伸べます。
③ 開式中のサポート
式が始まると、私たちは「音を立てない影」になります。
- 焼香案内:参列者がスムーズに焼香できるよう、列を整理し誘導します。
- お寺様(僧侶)のアテンド:お茶出しや、式場への誘導。
- 場内の見守り:具合の悪くなった方がいないか、空調は適切か常に目を配ります。
④ 通夜振る舞い・精進落とし(お食事)の配膳
式の後に行われる食事の席でのサービスです。
- 配膳・下膳:お料理や飲み物の提供。
- 追加オーダー対応:飲み物の補充など。
ここは居酒屋のような活気ではなく、故人様の思い出話に花が咲くよう、邪魔をしないサービスが求められます。「瓶ビールのラベルを上にする」といった基本マナーはもちろん、グラスが空く前にスッと注ぎに行く察知能力が必要です。
⑤ 片付け・見送り
すべてが終了したら、会場の片付けを行い、ご遺族をお見送りします。最後の一瞬まで気を抜かず、深く一礼をして締めくくります。
3. これぞプロの技!マニュアルにはない「気配り」の世界
業務内容は上記の通りですが、私が思う「セレモニースタッフの本質」は、マニュアルに書かれていない部分にあります。
私が長年の経験で培ってきた、そして新人さんにも伝えている「気配り」のいくつかをご紹介します。
言葉以外のサインを読み取る
例えば、ロビーの隅でハンカチを握りしめて立ち尽くしている方がいたとします。
すぐに声をかけるのが正解とは限りません。そっとしておいて欲しい時もあるからです。
しかし、咳き込んでいたり、顔色が優れない場合は、すっとお水や椅子をお持ちします。
「大丈夫ですか?」と聞く前に、必要なものを差し出す。これがプロの対応です。
小さなお子様への対応
私自身、子育て中の母ですので、お子様連れの参列者には特に目が行きます。
長いお経の間、子供は退屈してしまいますし、親御さんは「騒いだらどうしよう」と気が気ではありません。
そんな時、さりげなくロビーの絵本があるキッズスペースをご案内したり、「ママがお焼香の間、抱っこしていましょうか?」と目配せで伝えたりします。
親御さんのホッとした顔を見ると、私も心の中で「任せて!」とガッツポーズをしてしまいます。
ご遺族の「盾」になる
ご遺族は、悲しみの中にいながらも、参列者への挨拶などで心身ともに疲弊しています。
長話をしてくる参列者につかまって困っているご遺族がいれば、「そろそろお食事のお時間でございますので…」と、悪役になって間に入り、ご遺族を解放してあげることもあります。
ご遺族を守ることも、私たちの重要な使命なのです。
4. ぶっちゃけ「きつい」?現役スタッフが語るリアル
「葬儀の仕事はきつい」という噂を聞くこともありますよね。嘘をついても仕方がないので、正直なところをお話しします。
身体的な負担は?
立ち仕事がメインですので、最初のうちは足がむくんだり、腰が痛くなったりすることはあります。
また、お膳やビール瓶のケースを運ぶこともあるので、ある程度の体力は必要です。
ただ、これらは慣れが解決してくれる部分が大きいです。私はジムに行く代わりに仕事で歩き回っていると思っているので、40代の今でも体型維持に役立っています(笑)。
精神的な負担は?
「人の死」に触れる仕事ですので、最初は気持ちが沈んでしまうこともあるかもしれません。
特に、若くして亡くなられた方や、自分と同じくらいのお子様のお葬式は、感情移入してしまい涙をこらえるのが必死なこともあります。
しかし、私たちは「悲しむこと」が仕事ではなく、「悲しむ人を支えること」が仕事です。
プロとして気持ちを切り替えるスイッチを持つようになりますし、むしろ「命の大切さ」を日々実感できるので、家に帰って家族に会えた時の喜びが倍増します。
シフトや時間は?
実はお通夜は夕方から、告別式は日中と時間が決まっているので、主婦にとっては働きやすい環境でもあります。
「告別式だけの4時間勤務」など、隙間時間を活用して働いているパートさんも多いですよ。
5. この仕事で得られる「一生モノ」のスキル
セレモニースタッフを経験すると、日常生活でも役立つ素晴らしいスキルが身につきます。 一流のビジネスマナーと敬語 失敗が許されない場での言葉遣いや所作は、どこに出ても恥ずかしくないレベルになります。 究極の「察する力」 相手が何を求めているかを瞬時に判断する力は、他の接客業や、あるいは家族とのコミュニケーションでも大いに役立ちます。 度胸と冷静さ 何百人もの参列者を前に誘導したり、突発的なトラブルに対応したりすることで、ちょっとやそっとのことでは動じない精神力が養われます。 冠婚葬祭の知識 自分自身の家族にいざという時が来た際、慌てずに対応できる知識が身につきます。これは親戚中から頼りにされるポイントです。
6. 最後に:私がこの仕事を誇りに思う理由
AIやロボットが進化している世の中ですが、この仕事だけは、絶対に人間にしかできないと確信しています。
なぜなら、悲しみに暮れる人の手に触れて温もりを伝えたり、涙を拭うタイミングでティッシュを差し出したりする「温度のある優しさ」は、機械には再現できないからです。
式の後、ご遺族からいただく言葉があります。
「あなたがいてくれてよかった。おかげで、いいお別れができました」
この言葉をいただいた時の震えるような感動は、何年やっていても変わりません。
人生の最期のセレモニーを、最高のものにする。
黒子だけれど、誰かの人生の大切な1ページに深く刻まれる。
そんな誇り高い仕事に、あなたも挑戦してみませんか?
40代からでも、未経験でも、全く遅くありません。
むしろ、人生経験を積んだ「あなた」だからこそ、できる気配りがあるはずです。
私たちと一緒に、心温まるお見送りの空間を作っていきましょう。



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