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枕花(まくらばな)を送るタイミングと相場|供花との違い・哀悼の意を表す花選び

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白い菊と百合を束ねた枕花のアレンジメント 葬儀の基礎知識・用語集
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「故人と最期に顔を合わせたのが半年前で、それきり会えなかった。せめて枕元に花を一輪でも届けたい」。先月、私が担当した家族葬で、故人のいとこにあたる女性が電話口でそう泣いていました。訃報を聞いたのは亡くなった当日の夕方、すぐに枕花を手配したいけれど何を頼めばいいかわからない、と。

枕花(まくらばな)は、ご遺体の枕元に飾る花のこと。供花(きょうか・くげ)とは送るタイミングも飾る場所も、相場も違います。けれど混同して「とりあえずお花を」と注文してしまい、届いた当日に「これは枕花ですか、それとも供花ですか」と遺族に確認の電話がかかってくる、というケースを年に何度も見てきました。

この記事では、葬祭ディレクター歴20年の私が、枕花の正しい送り方と相場、供花との違い、宗派ごとの注意点を、現場の事例を交えてお伝えします。読み終わったとき、訃報を受けてから30分以内に正しく花を手配できる状態になっているはずです。

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枕花とは何か|枕元に飾る「最初の花」の意味

枕花は、故人が亡くなった直後、自宅または安置施設で安置されているご遺体の枕元に飾る花を指します。一対(左右ペア)または一基(ひとつ)で飾るのが一般的で、白を基調とした小ぶりなアレンジメントが主流です。

なぜ枕元に花を飾るのか。これには「亡くなった方の魂が迷わないように」「邪気を払う」といった仏教的な意味合いと、純粋に故人を悼み、寂しい枕元に彩りと香りを添えるという遺族への思いやりの両方が込められています。私が新人だった頃、先輩から「枕花は遺族の涙を受け止める最初の花だよ」と教わったことを今でも覚えています。

近年は自宅安置が減り、葬儀社の安置施設で過ごすケースが増えました。それでも枕花の文化は残っていて、特に故人と深い関係にあった親族や親しい友人が「葬儀本番の供花だけでは足りない」と感じたとき、まず枕花を送る、という流れが今も生きています。

枕飾りと枕花は違うもの

混同しやすいのが「枕飾り」。これは枕元に置く小さな机のことで、香炉・燭台・花立て・茶碗(一膳飯)などをセットで配置します。枕飾りに含まれる花立ては、ふつう葬儀社が用意するシンプルなもの。これに加えて、ご親族や近しい方が個人で送るのが枕花です。

つまり、枕飾り=葬儀社が用意するセット、枕花=個別に届けられる弔意の花、と覚えておくと混乱しません。自宅安置のときの枕飾りの具体的な配置については、遺体の自宅安置の準備マニュアルでも詳しく触れているので、安置に立ち会う方は合わせて確認しておいてください。

枕花と供花の違い|送るタイミング・場所・札の書き方

「枕花と供花、どっちを送ればいいですか」。これは私が電話でいちばんよく受ける質問です。両者は似ているようで、目的も送るタイミングもまったく違います。整理しておきましょう。

項目枕花供花
送るタイミング訃報を受けた直後〜通夜前まで通夜の半日前〜告別式当日
飾る場所故人の枕元(安置場所)葬儀会場の祭壇周り
サイズ小ぶり(高さ30〜50cm)大型スタンド(高さ1〜2m)
相場5,000〜20,000円15,000〜30,000円
送り主近親者・特に親しい友人親族・会社関係・友人知人
札名(名札)立てない or 控えめ立札を必ず立てる
形状アレンジメント(籠盛り)スタンド花・籠花

大きな違いは送るタイミングです。枕花は「亡くなった直後」、供花は「通夜・告別式の前日まで」。この差は半日〜2日ほどですが、意味が大きく変わります。枕花は遺族がまだ呆然としているとき、故人と二人きりに近い静かな時間に届く花。供花は弔問客の目に触れる、いわば公の場の花。届く相手の心境がまったく違うんです。

また、札名の扱いも大きく異なります。供花には必ず立札を立てて送り主を明示しますが、枕花は札を立てないことが多い。立てる場合も控えめに、贈り主の名前のみを小さく添える程度です。これは枕花が「公の弔意表明」ではなく「個人的な哀悼」だから。供花の手配方法と相場の詳細については別記事にまとめているので、供花も同時に送るか迷っている方はそちらも参照してください。

枕花を送るタイミング|訃報を受けてから何時間以内?

枕花は「訃報を受けたら、できるだけ早く」が原則です。理想は訃報の連絡を受けてから半日以内、遅くとも翌日の通夜が始まる前まで。なぜなら、枕花は「故人が枕元にいる時間」に飾るものだから。通夜が始まると棺に納められ、安置場所から葬儀会場へ移動してしまいます。

具体的な目安として、訃報を聞いたのが午前中なら、その日のうちに花屋へ手配。夜だったら翌朝一番に。私の経験上、訃報を聞いてから3時間以内に注文を入れる方が、安置場所への配達がスムーズにいく確率が高いです。

通夜が終わってから「やっぱり送りたい」と気づいた場合

正直なところ、これはよくあるケースです。仕事中に訃報を聞いて、その日は動けなかった。翌日になって「やっぱり何か」と思ったときには、すでに通夜の準備が始まっている。こういう場合は、無理に枕花にこだわらず、供花への切り替えをおすすめします。

通夜の朝までなら供花として祭壇周りに飾ってもらえます。それも間に合わなければ、葬儀後に「後飾り壇用」のアレンジメントとして送るという方法も。後飾り壇は葬儀後〜四十九日まで自宅に設けられる祭壇で、ここに花を添えることは何ら失礼にあたりません。

家族葬・密葬での枕花は事前確認が鉄則

近年は家族葬が主流で、訃報そのものを葬儀後まで知らせないケースも増えました。「香典・供花の儀辞退」とあった場合、枕花も含めて辞退の意向と受け止めるのが一般的です。どうしても送りたい気持ちがあるなら、まずは喪家か葬儀社に電話で「枕花だけでもお送りしてよろしいでしょうか」と確認を入れる。これだけで遺族の負担を大きく減らせます。

家族葬での弔意の伝え方全般については、香典辞退の案内が出ているときのマナーもあわせて読んでおくと、判断に迷ったときの軸ができます。

枕花の相場と予算|関係性別の金額目安

枕花の相場は5,000円〜20,000円。供花よりやや控えめな金額帯です。これは枕花が「公の場で見られるもの」ではなく、遺族と故人の私的な空間に置かれるため、過度に豪華なものは逆に気を遣わせてしまうから。

故人との関係金額目安形状の目安
兄弟姉妹・子・孫15,000〜20,000円一対(左右ペア)
叔父・叔母・いとこ10,000〜15,000円一基(ひとつ)
親しい友人7,000〜10,000円一基(ひとつ)
会社の同僚・取引先5,000〜10,000円一基(ひとつ)
知人・遠い縁戚5,000円程度一基(小ぶり)

一対と一基の使い分けは関係性で決まります。故人と血縁の濃い兄弟・子・孫は一対(左右に並べる二基セット)で送るのが伝統的。それ以外は一基で十分です。「対で送らなきゃ失礼かも」と無理に予算を上げる必要はありません。むしろ予算より、選ぶ花の趣味と心遣いのほうがずっと大切です。

私の現場感覚でいうと、ここ数年で平均相場は微妙に下がっていて、7,000〜10,000円帯が最も注文が多い印象です。理由は家族葬の増加と、安置施設のスペースが限られていること。豪華で大きいものより、こぢんまりとして上品なものが選ばれる傾向が強くなっています。

枕花にふさわしい花の種類|白を基調に「香りすぎないもの」

枕花に使う花は、白を基調にした清楚なものが基本。葬儀全般に共通するルールですが、枕花は特に「故人の枕元」という近い距離にあるため、香りの強さや花のサイズ感への配慮がより求められます。

よく使われる花の種類

  • 白菊・小菊(最も伝統的、長持ちする)
  • 白い百合(オリエンタル系は香りが強いので注意)
  • 胡蝶蘭(高級感があり日持ちも良い)
  • カーネーション(白・淡いピンク)
  • トルコキキョウ(控えめで上品)
  • カラー(モダンな雰囲気)
  • かすみ草(脇役として)

「菊ばかりだと地味すぎないか」と心配される方もいますが、最近は故人が若い世代の場合、白とパステルピンクや淡いブルーを混ぜた洋風アレンジメントも増えています。葬儀社や花屋に「故人は60代の女性で、明るい雰囲気の方でした」と伝えれば、適切に選んでくれます。

避けるべき花

  • 赤い花(バラ・カーネーションの赤など、慶事の色)
  • 棘のある花(バラ、アザミなど)
  • 香りが極端に強い花(ストックの一部、フリージアの強いもの)
  • 毒のある花(彼岸花、スイセン、すずらん)
  • 花粉が散りやすい花(ユリは花粉を取り除いてもらう)
  • 鉢植え(「根付く=病が根付く」の連想で避ける)

百合は枕花の定番ですが、品種選びには注意が必要です。カサブランカのようなオリエンタル系は香りが強烈で、狭い安置室では遺族が気分を悪くすることもあります。「百合を入れるなら香りの控えめなLAハイブリッド系で」と注文時に伝えると安心です。

宗派・宗教別の枕花マナー|知らずに送るとトラブルになる

枕花は基本的に仏式の文化ですが、神式・キリスト教式・その他宗教でも花を送ることはできます。ただし、それぞれ作法が違うので注意が必要です。

仏式(最も一般的)

白を基調に菊・百合・カーネーションを組み合わせたアレンジメントが標準。浄土真宗では「故人の魂が迷う」という概念がないため、枕花の意味づけが他宗派と若干異なりますが、花そのものを贈ること自体は問題ありません。仏式の葬儀全体の流れについては仏式葬儀の流れとマナーで詳しくまとめています。

神式

神式でも白い花のアレンジメントで問題ありません。ただし、神道では榊(さかき)を供える文化が中心で、花よりも榊が好まれることもあります。事前に葬儀社へ「神葬祭ですが枕花を送って問題ないか」と確認するのが確実です。

キリスト教式

キリスト教式では生花を多用するため、枕花の文化はむしろ歓迎されます。ただし、菊は「日本の仏式の花」というイメージが強いので、白い百合・カーネーション・カスミソウ・トルコキキョウなど洋花中心で組むのが自然。札名も「御花料」ではなく、控えめにメッセージカードを添える程度で十分です。

創価学会・天理教など

創価学会の友人葬では「樒(しきみ)」を中心に祭壇を構成する独特の文化があり、花の代わりに樒を送ることもあります。天理教では「みたまうつし」の儀式があり、花の扱いがやや異なります。これらの宗教で枕花を送る場合は、必ず先方の葬儀社に確認してから注文してください。詳しくは天理教の葬儀「みたまうつし」完全ガイドも参考になります。

枕花の注文方法|どこに頼めば失敗しないか

枕花の注文先は大きく3つ。それぞれメリット・デメリットがあるので、状況に応じて使い分けてください。

1. 葬儀を担当している葬儀社に依頼

最も確実で失敗しない方法。葬儀社は提携花屋を持っていて、安置場所・配達時間・札の有無まですべて把握しています。喪家に「どちらの葬儀社さんですか」と聞いてから、その葬儀社へ直接電話で「故人〇〇様の枕花を送りたい」と伝えればOK。費用も明朗で、葬儀の流れに合わせた配達調整をしてくれます。

2. 地元の生花店に依頼

故人と縁のあった花屋がある場合や、自分で花を選びたい場合に向いています。注意点は、安置場所の住所と配達可能時間を正確に伝えること。家族葬の場合は配達時に弔問客と勘違いされないよう、「玄関先での受け渡しのみで」と一言添えるとスマートです。

3. オンラインの葬儀専門花店

「日比谷花壇」「フラワーキッズ」など、葬儀専門の通販花店も増えています。深夜にWebで注文できて翌朝配達してもらえる利便性が魅力。ただし、地方の安置施設や家族葬向け会館への配達は対応外のこともあるので、注文前に配達可能エリアを必ず確認してください。

札名の書き方とメッセージカードの文例

枕花は供花と違って大きな立札を立てないのが基本。ただし「誰から贈られた花か」を遺族に伝えたい場合は、小さな名札またはメッセージカードを添えます。

札名の基本ルール

  • 個人で送る場合:氏名のみ(例:山田太郎)
  • 夫婦連名:夫の氏名のみが伝統的、最近は連名も増えた
  • 会社で送る場合:会社名+代表者名(例:株式会社〇〇 代表取締役 田中一郎)
  • 兄弟一同:「兄弟一同」「孫一同」など

メッセージカードの文例

ご逝去の報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。ささやかですがお花をお送りいたしました。安らかなお眠りをお祈りいたします。
〇〇 〇〇

突然の悲報に言葉もありません。〇〇様には生前大変お世話になりました。ご冥福を心よりお祈り申し上げます。
〇〇株式会社 一同

注意したいNG表現は「重ね言葉」と「忌み言葉」。「重ね重ね」「ますます」「再び」などは不幸が続くことを連想させるため使いません。また、浄土真宗の遺族には「ご冥福」は使わない(浄土真宗の教義上、亡くなった方はすぐに極楽往生するため)ので、「謹んでお悔やみ申し上げます」「心よりお悔やみ申し上げます」に置き換えてください。お悔やみの言葉の細かい使い分けはお悔やみの言葉・文例集に状況別の例文を載せています。

よくある質問

Q1. 枕花と供花を両方送るのは失礼ですか?

失礼ではありません。むしろ故人と特に近しい関係(兄弟姉妹・子・孫など)の場合、両方を送ることで深い弔意を表す形になります。ただし、近年は遺族の負担を考えてどちらか一方にとどめる方も増えました。家族葬で「香典・供花辞退」とある場合は、枕花も含めて辞退の意向と受け取るのが無難です。

Q2. 安置場所がわからない場合はどうすればいいですか?

喪家に直接聞くのが確実ですが、訃報直後の遺族に細かい確認をするのは気が引けますよね。そういうときは、訃報連絡をしてくれた方(共通の親族や会社の総務など)に「枕花を送りたいので、葬儀社の連絡先を教えてもらえませんか」と聞くのがスマートです。葬儀社さえわかれば、あとは葬儀社が安置場所まで責任を持って届けてくれます。

Q3. 訃報を受けて3日後に枕花を送るのは遅すぎますか?

正直に言うと、3日後はすでに告別式が終わっているケースが多く、枕花としては遅いです。この場合、「後飾り壇」用のアレンジメントとして自宅へ送るのが現実的。葬儀後の自宅祭壇は四十九日まで設けられるので、「枕花が遅れて申し訳ありません、後飾り壇にお供えいただければ幸いです」と一言添えれば、遺族も気持ちよく受け取ってくれます。

Q4. プリザーブドフラワーや造花でも大丈夫ですか?

枕花としては避けるのが無難です。枕花には「生花の香りと色で枕元を清める」という意味があり、生花が原則。ただし、四十九日後の手元供養や仏壇のお供えとしてプリザーブドフラワーを送るのは近年増えています。「枕花は生花、長く飾るものはプリザーブド」と用途で分けるのが正解です。

Q5. 喪家から「枕花は遠慮します」と言われたら、何を送ればいいですか?

無理に花を送らず、その気持ちを尊重するのが第一です。どうしても何か形にしたい場合は、四十九日後に「お線香」や「ろうそく」の高級ギフトを送る、もしくは現金書留で香典を送る、という選択肢があります。香典を後日郵送する場合の細かいルールは別途まとめていますので、状況に応じて使い分けてください。

Q6. 海外から枕花を送ることはできますか?

可能です。Interflora や FTD などの国際花配送サービスを使えば、海外から日本の安置場所への配達が依頼できます。ただし配達まで24〜48時間かかることが多いため、通夜が早い場合は供花への切り替え、もしくは後飾り壇用の手配がおすすめ。海外在住の親族からはむしろ、四十九日法要に合わせた花の手配のほうが喜ばれる傾向があります。

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