【完全版】自宅葬の準備と流れ|マンションでも可能?搬入経路やメリット・デメリットを徹底解説
【完全版】自宅葬の準備と流れ|マンションでも可能?搬入経路やメリット・デメリットを徹底解説
「住み慣れた我が家で最期を迎えたい」「家族だけでゆっくりと故人を見送りたい」
近年、葬儀会館ではなく自宅で葬儀を行う「自宅葬(じたくそう)」を選択する方が増えています。病院から直接自宅へ戻り、形式にとらわれず温かい時間を過ごせるのが最大の魅力です。
しかし、いざ自宅葬を行おうとすると、「マンションの狭いエレベーターに棺は乗るのか?」「近所に迷惑がかからないか?」「準備は何が必要なのか?」といった現実的な不安が浮かび上がります。
本記事では、自宅葬の基礎知識から、マンションで行う際の注意点、具体的な搬入経路の確認方法、そしてメリット・デメリットまで、失敗しないための情報を網羅的に解説します。
目次
- 自宅葬(在宅葬)とは?選ばれる理由と現状
- 自宅葬のメリット・デメリットを比較
- マンション・アパートで自宅葬は可能か?【搬入経路の壁】
- 自宅葬に必要な準備と空間づくり
- 自宅葬の流れと当日のスケジュール
- 費用相場と節約のポイント
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
自宅葬(在宅葬)とは?選ばれる理由と現状
自宅葬とは、その名の通り「自宅で通夜・葬儀・告別式を行うスタイル」のことです。かつての日本では当たり前の光景でしたが、住宅事情の変化や葬儀会館の普及により一度は減少しました。しかし現在、以下の理由から再び注目を集めています。
なぜ今、自宅葬なのか?
- 形式よりも想いを重視:宗教的な儀式よりも、家族団らんのような時間を過ごしたいというニーズの増加。
- 高齢化と「看取り」の場所:在宅医療の推進により、自宅で息を引き取るケース、あるいは病院から一度帰宅したいという願いが増えています。
- コストパフォーマンス:葬儀会館の使用料(式場費)がかからないため、費用を抑えられる可能性があります。
- コロナ禍の影響:不特定多数が集まる場所を避け、身内だけで行う小規模な葬儀(家族葬)が定着したこと。
自宅葬のメリット・デメリットを比較
自宅葬はメリットが多い反面、家族にかかる負担も存在します。決定する前に、良い面と悪い面の両方を理解しておくことが重要です。
メリット:自由度と精神的な安らぎ
1. 故人とずっと一緒にいられる 会館の場合、面会時間に制限があることが多いですが、自宅なら24時間そばにいて、線香をあげたり声をかけたりすることができます。 2. リラックスした雰囲気 住み慣れた場所なので、遺族も緊張せずに過ごせます。服装も格式張らず、故人の好きだった音楽を流したり、手料理を供えたりと自由な演出が可能です。 3. 式場使用料がかからない 数万円〜数十万円かかる葬儀会館の使用料が不要になるため、その分を祭壇の花や料理のグレードアップに回すことができます。
デメリット:準備の手間と近隣配慮
1. 準備・片付けは自分たちで行う必要がある 会館であればスタッフが行う掃除、接待、片付けを、ある程度遺族が行う必要があります(※葬儀社がサポートしてくれる範囲もあります)。 2. 参列者の人数が限られる 自宅の広さによって、呼べる人数に物理的な限界があります。基本的には親族中心の「家族葬」形式になります。 3. 近隣住民への配慮が必要 人の出入り、お経の音、焼香の匂いなどが近所迷惑にならないよう、事前の挨拶や対策が必要です。
マンション・アパートで自宅葬は可能か?【搬入経路の壁】
戸建てであれば比較的容易ですが、マンションやアパートなどの集合住宅の場合、「棺(ひつぎ)の搬入・搬出」が最大のハードルとなります。結論から言えば、条件さえクリアすればマンションでも自宅葬は可能です。
1. エレベーターのサイズ確認(最重要)
ご遺体はストレッチャーで運ばれますが、出棺時は「棺」に入った状態です。棺は長尺物であるため、エレベーターに乗らないケースがあります。
- 必要な奥行き:一般的な棺の長さは約180cm〜190cmです。エレベーターに「トランク(奥が開く扉)」がついているか確認してください。
- トランクの使い方:エレベーターの奥にある扉を開けると、ストレッチャーや棺などの長い物を入れるスペースが確保できる場合があります。管理人に鍵を開けてもらう必要があるため、事前の確認が必須です。
- 斜めにするリスク:棺を極端に斜めにしたり立てたりすることは、ご遺体の尊厳や状態保持の観点から避けるべきです。
2. 階段や廊下の幅と曲がり角
エレベーターがない、あるいは乗らない場合、階段を使用します。
- 踊り場のスペース:棺は回転させる必要があるため、階段の踊り場に十分な広さが必要です。
- 玄関前の廊下:玄関ドアを開けた状態で、棺を水平に出し入れできるスペースがあるか確認します。
3. マンションの管理規約
一部のマンションでは、管理規約で「敷地内での葬儀」を禁止していたり、遺体の搬入経路を指定(貨物用エレベーターの使用など)していたりする場合があります。必ず管理組合や管理会社に確認を取りましょう。
自宅葬に必要な準備と空間づくり
自宅を葬儀会場にするためには、家具の移動や整理が必要です。葬儀社に相談する前に、以下のポイントをチェックしておきましょう。
1. 祭壇と棺を置くスペース(6畳〜)
最低でも6畳一間のスペースがあれば、小さな祭壇と棺を安置することは可能です。しかし、参列者が座るスペースを考えると、リビングと続き間の和室など、計10畳以上の空間があるのが理想的です。
- 家具の移動:ソファやテーブルなどの大型家具は、一時的に別室へ移動する必要があります。
- 室温管理:ご遺体の状態を保つため、夏場は冷房を効かせる必要があります。安置する部屋にエアコンがあるか確認してください。
2. 導線の確保
玄関から安置する部屋までのルート上の障害物(観葉植物、置物、カーペットの段差など)は取り除いておきます。靴を脱ぐスペースの確保も忘れずに行いましょう。
3. 宗教用具・備品の確認
仏式の場合、仏壇がある部屋で行うのが一般的ですが、ない場合は葬儀社が簡易的な祭壇を用意してくれます。座布団、湯呑みなどが人数分あるかも確認しておきましょう(レンタル可能な場合が多いです)。
自宅葬の流れと当日のスケジュール
基本的な流れは一般的な葬儀と同じですが、移動がない分、ゆったりと進行します。
【1日目】ご臨終〜搬送・安置
- 死亡診断:医師による死亡確認と診断書の発行。
- 葬儀社へ連絡:「自宅で葬儀を行いたい」という旨を明確に伝えます。
- 搬送:病院から自宅へご遺体を搬送します。この時、マンションの場合は搬入経路を確認しながら慎重に運び入れます。
- 安置・枕飾り:北枕(または西枕)にご遺体を安置し、枕飾り(線香、ろうそく、花など)を整えます。ドライアイス処置も行います。
- 打ち合わせ:葬儀社と日程、プラン、祭壇の規模などを決定します。近隣への挨拶回りもこのタイミングで行います。
【2日目】納棺・通夜
- 納棺の儀:湯灌(ゆかん)や死化粧を行い、旅支度を整えて棺に納めます。家族の手で行うことで、深い別れの時間が持てます。
- 通夜式:読経・焼香を行います。自宅葬の場合、通夜振る舞い(食事)は仕出し弁当を取るか、家族で手料理を囲むなど自由です。
【3日目】葬儀・告別式〜出棺
- 葬儀・告別式:読経、弔辞、焼香。最期のお別れとして、棺に花を手向けます(花入れ)。
- 出棺:霊柩車へ棺を運びます。近隣への影響を考慮し、クラクションは鳴らさないケースが多いです。
- 火葬:火葬場へ移動し、荼毘に付します。
- 帰宅・還骨法要:遺骨を持って帰宅し、後飾り祭壇に安置します。
費用相場と節約のポイント
「自宅葬は安い」と思われがちですが、プラン内容によっては意外と費用がかかることもあります。
自宅葬の費用相場:30万円〜80万円程度
これは宗教者へのお布施を含まない、葬儀社へ支払う費用の目安です。一般的な家族葬の相場(60〜100万円)と比較すると、式場使用料分(5〜20万円程度)が安くなる傾向にあります。
費用が変わるポイント
- 祭壇の有無・グレード:祭壇を飾らず、棺の周りを花で囲むだけの「花祭壇」にすれば費用を抑えられます。
- 人件費:スタッフの常駐が必要かどうか。司会進行を自分たちで行えば節約になります。
- 食事・返礼品:参列者の人数によって変動します。
- オプション費用:ドライアイスの追加(日数分)、湯灌サービスの有無など。
注意点:自宅葬プランに特化した葬儀社を選ぶことで、無駄なオプションを省き、明朗会計で行うことができます。
よくある質問(FAQ)
Q. 自宅葬だと近所にバレずに葬儀を行えますか?
A. 完全に秘密にするのは難しいですが、目立たなくすることは可能です。霊柩車を普通のワゴン車タイプにしたり、喪服の着用を出棺直前にしたりする等の配慮をしてくれる葬儀社を選びましょう。ただし、弔問客の出入りで気づかれる可能性はあります。
Q. 部屋が散らかっていますが大丈夫ですか?
A. 葬儀社スタッフは慣れていますので心配ありません。ただし、棺の搬入・安置スペースだけは確保が必要です。不要な荷物を一時的にベランダやお風呂場、車の中などに避難させる方もいます。
Q. お坊さんは呼べますか?
A. もちろんです。菩提寺がある場合は必ず連絡してください。無宗教で行うことも可能ですし、葬儀社にお坊さんを紹介してもらうこともできます。
まとめ:最期の時間を「我が家」で過ごす選択
自宅葬は、故人にとっても遺族にとっても、最もリラックスできる場所で最後のお別れができる素晴らしい選択肢です。
- メリット:故人とゆっくり過ごせる、式場費カット、自由な演出。
- 注意点:マンションの搬入経路(エレベーター・階段)の事前確認が必須。
- 準備:最低6畳のスペース確保と、家具の移動。
大切なのは、「どのようなお別れにしたいか」を家族で話し合うことです。もしマンションでの実施に不安がある場合は、事前に葬儀社へ「事前相談」を申し込み、実際に自宅を見てもらうことを強くおすすめします。プロの視点で、搬入可否やレイアウトの提案をしてくれるはずです。
後悔のないお見送りのために、まずは一度、専門家に相談してみてはいかがでしょうか。



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