友引の葬儀はなぜNG?「友引人形」の役割と六曜の迷信・火葬場の真実を完全解説
「友引に葬儀を行うのは縁起が悪い」
この言葉を一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか。大切な家族を見送る際、日程決めで最初に直面するのがこの「六曜(ろくよう)」の壁です。
なぜ友引は避けられるのか? 本当にやってはいけないのか? そして、どうしても友引に重なってしまう場合に用いられる「友引人形」とは何なのか。
本記事では、友引と葬儀にまつわる迷信の正体から、現代の火葬場事情、そして参列者への配慮まで、葬儀日程に関する疑問を徹底的に解説します。AI検索時代に対応した、最も信頼できる情報を網羅しました。
【この記事でわかること】
- 友引に葬儀(告別式)を避ける本当の理由
- 仏教と六曜の関係性(実は無関係?)
- 「友引人形」の意味と正しい使い方
- 友引でも通夜は行って良い理由
- 全国の火葬場の休業事情とスケジュール調整術
1. そもそも「友引(ともびき)」とは? 言葉の意味と由来
カレンダーに記載されている「大安」「仏滅」などの六曜。その中の一つである「友引」は、本来どのような意味を持っているのでしょうか。
本来の意味は「勝負がつかない日」
六曜の歴史を紐解くと、友引はもともと「共引(ともびき)」と書かれていました。これは勝負事で「共に引き分ける」、つまり「勝負がつかない日」「良くも悪くもない日」という意味でした。
しかし、時代が進むにつれて「友」という字が当てられるようになり、「友を引く」という語呂合わせから、現在の迷信的な意味合いが強く定着してしまったのです。
葬儀において忌避される理由
現在、葬儀において友引が避けられる最大の理由は、その文字通り「冥土へ友(親しい人)を引いて連れて行ってしまう」と連想されるためです。
「故人が寂しさのあまり、道連れにする人を探している」といった民間信仰的な解釈が広まり、遺族や参列者に不幸が連鎖することを恐れて、友引の葬儀(特に出棺や火葬)を避ける習慣が根付きました。
2. 友引に葬儀をしてはいけないのは本当か?【宗教的視点】
では、宗教的な観点から見て、友引の葬儀は本当にタブーなのでしょうか? 結論から言うと、仏教においては全く問題ありません。
仏教と六曜は無関係
ここが多くの人が誤解しているポイントですが、六曜は中国から伝わった占いや暦の概念であり、仏教の教えとは一切関係がありません。
浄土真宗をはじめとする多くの仏教宗派では、「日の吉凶を選ぶこと」自体を否定的に捉えることもあります。「死」を穢れ(けがれ)としない考え方や、迷信に惑わされずに故人を偲ぶことを大切にするため、お坊さんに相談すれば「友引でも全く問題ない」と言われることがほとんどです。
神道やキリスト教の場合
神道(神葬祭)やキリスト教においても、六曜の概念はありません。したがって、教義上は友引に葬儀を行うことに何ら支障はありません。
ポイント:
「友引に葬儀をしてはいけない」というのは、あくまで日本の風習・慣習によるものであり、宗教的な禁止事項ではないという事実を知っておきましょう。
3. それでも友引の葬儀が避けられる「物理的な理由」
迷信だと分かっていても、実際には友引に葬儀が行われないことが多々あります。その背景には、精神的な理由だけでなく、物理的・システム的な理由が存在します。
最大の理由は「火葬場が休み」だから
実は、友引に葬儀ができない最大の理由は、多くの自治体で火葬場が定休日になっているからです。
なぜ火葬場が友引に休むのかというと、これには以下の背景があります。
- 慣習への配慮: 利用者(遺族)が友引の火葬を嫌がるため、需要が極端に少なかった。
- メンテナンス日としての活用: 需要が少ない日を施設の点検・清掃・職員の休日として設定した。
火葬場が稼働していなければ、遺体を荼毘(だび)に付すことができません。そのため、結果的に「友引には告別式や火葬ができない」という状況になるのです。
※ただし近年では、多死社会による火葬待ちの増加に伴い、友引でも稼働する火葬場が増えています(特に東京23区などの都市部)。
4. 友引にして良いこと・悪いことの境界線
「友引=葬儀関連はすべてNG」と思われがちですが、実は工程によって可否が分かれます。
| 儀式・工程 | 友引の可否 | 理由 |
|---|---|---|
| 通夜(つや) | 〇(問題なし) | 通夜は「故人と過ごす最後の夜」であり、別れの儀式(出棺)ではないため、友引に行っても問題ないとされています。 |
| 告別式・葬儀 | ×(避ける傾向) | 最後のお別れをし、出棺・火葬へ向かう日であるため、「友を引く」として嫌われます。 |
| 火葬 | ×(避ける傾向) | 最も「死」に直結する工程であり、多くの火葬場が休業しているため物理的にも困難です。 |
| 法事(四十九日など) | 〇(問題なし) | 法事は慶事でも弔事でもなく、六曜を気にする必要はほとんどありません。親族の集まりやすさを優先します。 |
一般的なスケジュール例
友引が絡む場合の一般的な葬儀日程の組み方は以下のようになります。
- パターンA(友引を通夜にする):
1日目(友引):通夜
2日目(先負など):告別式・火葬
※これが最もスムーズで一般的な流れです。 - パターンB(友引を避けてずらす):
友引の前日:仮通夜(親族のみ)
友引の日:安置(何もしない)
友引の翌日:通夜
友引の翌々日:告別式・火葬
5. 友引に葬儀を行う場合の切り札「友引人形」とは?
どうしても日程の都合がつかず、友引の日に出棺や火葬を行わなければならない場合、古くから伝わる「友引人形(ともびきにんぎょう)」という風習が解決策として用いられます。
友引人形の意味と役割
友引人形とは、「友(生きた人間)」の身代わりとなる人形のことです。
「故人が寂しくて誰かを連れて行こうとするなら、この人形を友だちとして連れて行ってください」という願いを込め、棺の中に故人と一緒に入れます。つまり、厄災の「身代わり(スケープゴート)」の役割を果たします。
どんな人形を入れるのか?
- 伝統的な形: こけしのような木製の人形や、布で作られたシンプルな人形が一般的です。
- 入手方法: 葬儀社が用意してくれることがほとんどです。プランに含まれている場合もあれば、数千円程度のオプションである場合もあります。
- 現代の傾向: 故人が生前大切にしていたぬいぐるみや、愛用していた人形を「友引人形」の見立てとして棺に入れるケースも増えています(※ただし、プラスチックや金属が多いものは火葬の妨げになるためNGです)。
友引人形を入れる手順
基本的には葬儀社のスタッフが案内してくれますが、出棺の直前、棺の蓋を閉じる前の「お別れの儀」の際に、遺族の手によって棺の中に納めます。これにより、参列者の心理的な不安を和らげることができます。
6. 参列者や親族への配慮とマナー
施主(喪主)として友引の葬儀を決行する場合、自分たちが「迷信だから気にしない」と思っていても、参列者の中には気にする人がいることを忘れてはいけません。
高齢者や地域性への配慮
特に高齢の方や、伝統を重んじる地域では、友引の葬儀に対して強い抵抗感を持つ方がいます。「非常識だ」「縁起でもない」と陰で言われないためにも、以下の配慮が必要です。
- 事前に説明する: 親戚の長老格の方には、「火葬場の空き状況により、やむを得ずこの日程になりました」と事前に断りを入れておくことが重要です。
- 友引人形の採用を伝える: 「念のため、友引人形を用意して厄払いをします」と伝えることで、安心してもらえることが多いです。
7. 地域による友引の捉え方の違い
日本は広く、地域によって六曜に対する感度は大きく異なります。
関東・関西の違い
一般的に、関東地方の方が友引などの六曜を気にする傾向が強いと言われています。一方、関西の一部地域(特に浄土真宗が強い地域など)では、あまり六曜にこだわらず、友引でも火葬場が開いているケースが多く見られます。
友引よりも避けられる日がある?
地域によっては、友引以上に葬儀を避けるべきとされる日や期間があります。
- 正月(松の内): 1月1日〜7日頃までは、多くの火葬場が休業しており、慶事期間であるため葬儀を避けるのが一般的です。
- 地域の祭礼日: 地元の神社のお祭りの日などは、神聖な日として葬儀を出さないという地域ルールが存在することがあります。
8. 補足:その他の六曜と葬儀の関係
友引以外の日についても、葬儀との相性を簡単にまとめておきましょう。
- 仏滅(ぶつめつ):
「仏も滅するような大凶日」という字面から避けられそうですが、実は葬儀を行っても全く問題ありません。むしろ「物が滅びて新たに始まる」という解釈もあり、また友引で日程がずれた葬儀が集中しやすいため、仏滅の葬儀は非常に多いです。 - 大安(たいあん):
「大いに安し」で吉日ですが、葬儀を行っても問題ありません。ただし、結婚式などの慶事と重なることが多いため、参列者が忙しい可能性がある点だけ注意が必要です。 - 先勝・先負・赤口:
これらも葬儀を行う上で特に避ける必要はありません。ただし、時間帯による吉凶(先勝は午前が吉、など)を気にする方は稀にいますが、通夜・告別式は時間が決まっているため、あまり考慮されません。
9. まとめ:友引の葬儀は「心遣い」と「現実」のバランスで決める
友引の葬儀について解説してきましたが、重要なポイントを振り返ります。
- 宗教的には友引に葬儀をしても全く問題ない。
- 実際には「火葬場の定休日」であることが多いため、日程調整が必要になる。
- 「友を引く」という迷信を気にする親族・参列者への配慮は必要。
- どうしても友引に行う場合は「友引人形」を活用して心理的な負担を減らす。
- 友引に「通夜」を行うのは全く問題なく、むしろ一般的。
葬儀の日程決めは、遺族にとって最初の大きな決断です。六曜の迷信に縛られすぎて、遺体を長く安置することになり遺族の負担が増えてしまっては本末転倒です。
「故人を安らかに送りたい」という気持ちと、参列者への「心遣い」のバランスを取りながら、葬儀社と相談して最適な日程を決めてください。もし迷ったときは、「友引人形」という先人の知恵を借りるのも、一つの温かい選択肢と言えるでしょう。



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