「葬儀屋さんの給料って、やっぱり高いんですか?」
葬儀業界に興味がある方から、必ずと言っていいほど聞かれる質問です。
ネットで検索すると「葬儀屋 儲かる」「葬儀屋 給料 安い」と両極端なワードが出てきて、混乱している方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げますと、葬儀業界の給与水準は、全産業の平均と比べても「やや高め」です。ただし、給与の「中身(内訳)」には大きな特徴があります。ここを理解していないと、「求人票と手取りが違う!」と後悔することになりかねません。
この記事では、求人サイトの甘い言葉だけでは分からない、葬祭ディレクターのリアルな年収事情、ボーナスの実態、そして給料を底上げする「手当」のカラクリについて、包み隠さず解説します。
データで見る「葬儀屋(葬祭業)」の平均年収
まずは客観的なデータから見ていきましょう。
厚生労働省の賃金構造基本統計調査や、大手求人サイトのデータを総合すると、葬祭ディレクター(正社員)の平均年収は以下の通りです。
葬祭ディレクターの年収相場
- 平均年収:400万円〜550万円
- 平均月収:28万円〜38万円
日本の平均年収が約450万円前後であることを考えると、決して悪い数字ではありません。特に、学歴不問・未経験からスタートできる職種の中では、初任給が高めに設定されている傾向があります。
【年代別・役職別】年収シミュレーション
経験年数や役職によって、給与はどのように推移するのでしょうか。一般的なモデルケースをご紹介します。
① 新人・未経験(20代前半〜)
- 年収:300万円〜350万円
- 月給:22万〜25万円
- 特徴:入社直後は研修期間として、夜勤や担当手当がつかないため、基本給ベースとなります。
② 中堅・一人立ち(20代後半〜30代)
- 年収:400万円〜500万円
- 月給:30万〜35万円
- 特徴:一人で葬儀を担当できるようになると「担当手当」や「夜勤」が入るため、給与が一気に跳ね上がります。ここが一番の伸びしろです。
③ ベテラン・管理職(40代〜)
- 年収:550万円〜800万円オーバー
- 月給:40万〜50万円以上
- 特徴:支配人やエリアマネージャーなどの管理職になると、年収600万円を超えてきます。大手互助会などの幹部クラスでは、年収1,000万円プレーヤーも存在します。
なぜ「葬儀屋の給料は高い」と言われるのか?そのカラクリ
「月給30万以上可能!」という求人をよく見かけますが、これには理由があります。
葬儀業界の給与は、「基本給は低めだが、手当で稼ぐ」という構造になっている会社が非常に多いのです。
ここが、事務職や一般的な営業職と決定的に違うポイントです。具体的な手当の内訳を見てみましょう。
1. 夜勤手当・宿直手当(重要度:★★★★★)
葬儀業界で稼ぐための生命線です。
病院へのお迎えや、安置施設での対応のために泊まり込みをする業務です。
- 相場:1回 5,000円〜15,000円
月に4〜6回夜勤に入れば、それだけで3万〜9万円のプラスになります。逆に言えば、夜勤に入らない働き方を選ぶと、給与はガクンと下がります。
2. 担当手当・施行手当(重要度:★★★★☆)
自分がメイン担当(司会や進行管理)として葬儀を取り仕切った時につく手当です。
- 相場:1件 3,000円〜10,000円(または売上の数%)
「件数」をこなせばこなすほど給与が増える仕組みです。繁忙期(冬場)に給与が増えるのは、この手当の影響が大きいです。
3. 残業手当(重要度:★★★☆☆)
葬儀は突発的に発生し、お客様の都合で時間が延びることも日常茶飯事です。
現在は「働き方改革」で厳しくなっていますが、それでも月20〜40時間程度の残業は発生しやすい業界です。
注意点:「固定残業代(みなし残業)」として月4万円〜6万円があらかじめ給与に含まれている求人が多いです。「残業代は出るのか?それとも込みなのか?」は面接で必ず確認すべきポイントです。
ボーナス(賞与)はある?ない?
結論から言うと、「会社による差が激しい」のが実情です。
大手互助会・上場企業の場合
年2回(夏・冬)支給されるケースがほとんどです。基本給の2〜4ヶ月分程度が一般的で、安定しています。
中小の専門葬儀社の場合
「業績連動型」が多いです。その年の葬儀件数や売上が良ければドカンと出ますが、悪い年は「寸志(数万円)」程度ということもあります。
その分、毎月のインセンティブ(歩合)を高めに設定している会社もあります。
葬儀屋で「年収を上げる」ための3つのルート
もしあなたが「もっと稼ぎたい」と考えるなら、以下の3つのキャリアパスがあります。
1. 「葬祭ディレクター1級」を取得する
厚生労働省認定の「葬祭ディレクター技能審査」の1級を取得すると、資格手当がつくだけでなく、社内評価が上がり、大型葬(社葬など)を任されるようになります。
資格手当の相場は月1万〜3万円程度ですが、昇進へのパスポートとして必須です。
2. インセンティブ重視の会社へ転職する
「営業力」に自信があるなら、完全実力主義の会社を選ぶのも手です。
葬儀のプラン単価アップや、供花・返礼品の受注数に応じて歩合が入る会社なら、20代で年収600万円以上も夢ではありません。
3. 納棺師やエンバーマーとして独立する
葬儀社に所属せず、フリーランスの技術者として契約する方法です。
技術力があれば「1件◯万円」という高単価で契約でき、人気が出れば年収1,000万円クラスも狙えます。
注意!求人票を見る時の「落とし穴」
最後に、これから就職活動をする方に向けて、求人票で絶対にチェックしてほしいポイントをお伝えします。 ⚠️ 「月給例」に騙されないで! 「入社1年目:月収30万円!」と大きく書かれていても、内訳をよく見ると「夜勤6回、残業40時間を含む」と小さく書いてあることがあります。
これは「限界まで働いてやっと30万」という意味かもしれません。
必ず「基本給はいくらか?」「手当を除いた固定給はいくらか?」を確認しましょう。
まとめ:葬儀屋は「やった分だけ返ってくる」仕事
葬儀業界の給与事情について解説しました。
- 基本給は標準的だが、夜勤手当・担当手当で大きく稼げる
- 平均年収は400万〜550万円と、未経験からでも高水準
- 「時間」を切り売りする側面があるため、体力勝負なところはある
楽をして稼げる仕事ではありませんが、「働いた分、担当した分だけ給料に反映される」という分かりやすさがあります。
そして何より、給与という対価以上に、ご遺族からの「ありがとう」という精神的な報酬が得られるのも、この仕事の大きな魅力です。
「体力には自信があるから、しっかり稼いで安定した生活を送りたい」
そんな方にとって、葬儀業界は非常に魅力的な選択肢になるはずです。



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