葬儀屋はきつい?現役ママ社員が明かす「体力・精神・時間」の3重苦と、それでも私が辞めない理由
葬儀屋はきつい?現役ママ社員が明かす「体力・精神・時間」の3重苦と、それでも私が辞めない理由【実体験】
「葬儀屋さんの仕事って、実際どうなの?」「お給料は良さそうだけど、大変そう……」
この業界に興味を持ってくださる方から、よくこんな質問をいただきます。私は葬儀業界に入って早15年以上。40代になり、プライベートでは一児の母として子育てにも奮闘しています。
正直に申し上げましょう。葬儀屋の仕事は、皆様が想像する以上に「きつい」です。
インターネットで検索すると出てくる「やめとけ」「地獄」という言葉。あながち間違いではありません。しかし、それだけの過酷さがありながら、私を含め多くのスタッフが誇りを持ってこの仕事を続けているのもまた事実です。
今回は、業界の酸いも甘いも噛み分けた私が、葬儀の仕事における「体力・精神・時間」の3重苦というリアルな現実と、それを凌駕する「この仕事だけの感動」について、包み隠さずお話しします。
1. 葬儀屋の仕事が「きつい」と言われる最大の理由:3重苦の現実
葬儀の仕事がきついと言われる理由は、一つではありません。私が新人時代に洗礼を受け、今でも覚悟を持って向き合っているのが、これからお話しする3つの苦労です。
①【時間】24時間365日、定時という概念がない
人間が亡くなるタイミングは誰にも予測できません。深夜2時だろうが、家族で夕食を食べている最中だろうが、一本の電話で私たちの仕事は始まります。
- 深夜・早朝の呼び出し:「病院へのお迎え(搬送)」の依頼があれば、1時間以内に駆けつけるのが基本です。当番制とはいえ、携帯電話が鳴るたびに緊張が走ります。
- 不規則な生活リズム:お通夜は夕方から夜、告別式は午前中。これらが連続するため、食事や睡眠の時間はバラバラになりがちです。
- 友人の結婚式や行事への参加が難しい:突発的な仕事が入るため、数ヶ月先の予定を確定させるのが難しい側面があります。
特に私のように子供がいる場合、家族の理解と協力、そしてベビーシッターや病児保育などのサポート体制がなければ、この仕事を続けるのは至難の業です。
②【精神】「失敗が許されない」極限のプレッシャー
葬儀は「人生最期の儀式」です。結婚式のように「もう一回」は絶対にありません。
ご遺族は深い悲しみと混乱の中にいます。その中で、私たちはミスなく、スムーズに式を進行しなければなりません。焼香の順序、弔電の読み上げ、祭壇の設営……たった一つのミスが、ご遺族の一生残る後悔に繋がってしまう可能性があります。
- ご遺族の感情のケア:悲しみだけでなく、時には行き場のない怒りをぶつけられることもあります。そのすべてをプロとして受け止める精神力が必要です。
- 「死」と向き合い続けること:事故や事件、孤独死など、壮絶な現場に立ち会うこともあります。人の死に慣れることはありませんが、感情に飲み込まれずに業務を遂行する強さが求められます。
③【体力】見た目以上にハードな「肉体労働」
黒いスーツを着て静かに案内しているイメージがあるかもしれませんが、裏側は完全なガテン系です。
- 重量物の運搬:祭壇の設営機材、大量の生花、返礼品のダンボールなどは非常に重いです。これらを設営・撤収するために走り回ります。
- ご遺体の移動:ご遺体は想像以上に重く感じます。ストレッチャーから棺へ、棺から霊柩車へと、丁重かつ安全に移動させるには、腰への負担が大きく、腰痛は職業病と言えます。
- 長時間の立ち仕事・正座:式の最中は基本的に立ちっぱなし。また、打ち合わせなどで長時間正座をすることもあり、足腰の強さは必須スキルです。
2. 女性・母親としての葬儀屋のリアル
「女性にはきついのでは?」と思われるかもしれませんが、実は葬儀業界は女性の感性が非常に活きる現場でもあります。
きめ細やかな気配りが最大の武器
ご遺族、特にお母様や奥様といった女性の喪主様に対して、同性としての寄り添いができるのは強みです。お茶を出すタイミング、ハンカチを渡すタイミング、お子様への声がけなど、マニュアルにはない「察する力」が、ご遺族の心を救う瞬間を何度も見てきました。
子育てとの両立の壁
ここだけは綺麗事を言えません。子供が熱を出しても、担当している葬儀の最中に抜けることは原則できません。私は、夫や実家の両親、そして理解ある会社の上司・同僚に支えられてなんとかやってきました。
しかし最近では、「パートタイムでのセレモニースタッフ」や「施行担当を持たない事務・サポート職」など、働き方の選択肢も増えてきています。業界全体が、女性の働きやすさを模索し始めていると感じます。
3. それでも私が辞めない理由。3重苦を超える「究極のやりがい」
ここまで読んで「やっぱり辞めておこうかな」と思った方もいるかもしれません。ですが、ここからが本題です。なぜ、これほどきつい仕事を私が15年も続けているのか。
それは、「ありがとう」の重みが、他のどの仕事とも違うからです。
人生の締めくくりを演出する「最後の映画監督」
私たちは、故人様という主役を送り出す黒子であり、式の演出家でもあります。
「お花が好きだったから、祭壇を花畑のようにしたい」「カラオケが好きだったから、最後に曲を流したい」。ご遺族のそんな想いを形にし、故人様らしい最期を作り上げること。
無事に式を終えた時、涙を流しながら「あなたにお願いして本当によかった。いいお葬式だった」と手を握られた時の震えるような感動は、何にも代えがたいものです。
「悲しみ」を「思い出」に変えるお手伝い
葬儀の始まりは、絶望的な悲しみです。しかし、打ち合わせでお話を聞き、式の準備を進める中で、ご遺族が少しずつ故人様との温かい思い出を取り戻していく過程に立ち会うことができます。
「ちゃんとお別れができた」と思えることは、残された家族がこれからの人生を前を向いて歩んでいくための第一歩です。その背中を支えることができる。これほど人間らしく、尊い仕事は他にないと私は確信しています。
4. 葬儀屋に向いている人・向いていない人
最後に、現場を見てきた経験から、この仕事に向いている人の特徴を挙げます。
向いている人
- 聞き上手な人:ご遺族の話にじっくりと耳を傾け、言葉にできない想いを汲み取れる人。
- 切り替えが早い人:悲しみに共感しすぎず、プロとして冷静な判断ができる人。オンとオフの切り替えが重要です。
- チームワークを大切にする人:葬儀は一人ではできません。生花部、配膳スタッフ、ドライバーなど、多くのスタッフとの連携が不可欠です。
- 体力に自信がある人:これは必須条件です。
向いていない人
- 感情移入しすぎてしまう人:ご遺族と一緒に泣いてばかりいては、仕事が進みません。
- マニュアル通りにしか動けない人:現場はハプニングの連続です。臨機応変な対応力が求められます。
- 清潔感のない人:身だしなみは信頼の第一歩です。
5. まとめ:覚悟の先にある、一生モノの経験
葬儀屋の仕事は、間違いなく「きつい」です。体力も、精神も、時間も削られます。中途半端な気持ちで飛び込むと、すぐに心が折れてしまうでしょう。
しかし、もしあなたが「誰かの人生の役に立ちたい」「心からの感謝に触れたい」と強く願うなら、この業界は最高のステージになります。AIや機械化が進む現代においても、人の心に寄り添い、涙を拭うこの仕事だけは、人間にしかできません。
私は、この仕事を選んで本当に良かったと思っています。故人様の尊厳を守り、ご遺族の明日を守る。
そんな「誇り高き裏方」として、あなたも一緒に働いてみませんか? もし現場で会うことがあれば、その時は先輩ママとして全力でサポートしますよ。



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