喪主と施主の違いとは?役割・費用負担・決め方を完全解説
葬儀の準備を進める中で、最初につまずきやすいのが「喪主(もしゅ)」と「施主(せしゅ)」の違いです。「同じ人がやるものではないの?」「費用は誰が持つの?」といった疑問は、多くのご遺族が抱えます。この記事では、喪主と施主の明確な役割の違い、費用の分担、そして誰に依頼すべきかの決め方まで、葬儀後の相続税対策も含めて徹底解説します。
喪主と施主の決定的な違いとは?
結論から言うと、喪主と施主の違いは「儀式上の代表者」か「契約・費用の責任者」かという点にあります。
30秒でわかる違い
- 喪主(もしゅ):遺族の代表として弔問客の対応や儀式の進行を行う「顔」となる存在。
- 施主(せしゅ):葬儀社との契約を行い、葬儀費用を負担・管理する「運営・資金」の責任者。
一般的な個人葬では、喪主が施主を兼任することが多いため(約9割)、この言葉の違いを意識する機会は少ないかもしれません。しかし、社葬の場合や、喪主が高齢・未成年の場合は、役割を分けることが重要になります。
1. 喪主(もしゅ)の役割と仕事内容
喪主は、故人に代わって弔問を受ける「遺族の代表」です。葬儀全体を取り仕切る実務的なリーダーとしての側面と、故人を供養する祭祀承継者(さいししょうけいしゃ)としての側面を持ちます。
主な役割
- 弔問客への対応:通夜や告別式で、参列者からのご挨拶を受けます。
- 出棺・精進落としでの挨拶:儀式の節目で参列者へのお礼の挨拶を行います。
- 寺院・宗教者への対応:僧侶への挨拶やお布施の手渡し(準備は施主が行う場合も)を行います。
- 座る位置:祭壇に一番近い「上座」に座ります。
喪主が決めるべきこと
葬儀の形式や日時、祭壇の花のデザインなど、葬儀の「内容」に関する最終決定権は基本的に喪主が持ちます。ただし、独断で決めると親族間のトラブルになるため、施主や親族と相談しながら進めるのが一般的です。
2. 施主(せしゅ)の役割と仕事内容
施主は、お布施をする主(あるじ)という意味が語源であり、葬儀のスポンサーとしての役割を担います。実務的な「裏方」のリーダーです。
主な役割
- 葬儀社との契約:見積もりの確認や契約手続きの責任者となります。
- 費用の負担・決済:葬儀費用の支払いを行います。
- お布施の準備:僧侶へ渡すお布施の金銭管理を行います。
- 香典の管理:頂いた香典の計算や管理を行います。
特に重要なのが「香典の受取人」としての側面です。法的には、香典は「喪主(祭祀承継者)への贈与」と解釈されることが多いですが、実務上は「葬儀費用を負担する施主」が香典を受け取り、それを支払いに充てることが一般的です。
【比較表】喪主と施主の違いまとめ
| 項目 | 喪主(Chief Mourner) | 施主(Sponsor) |
|---|---|---|
| 主な役割 | 儀式の主催、参列者対応、挨拶 | 費用の負担、葬儀社との契約 |
| 立ち位置 | 遺族の代表(表舞台) | 運営・金銭の責任者(裏方) |
| 決定権 | 葬儀の日時・形式・内容 | 予算・支払い方法・契約内容 |
| 座席 | 最前列(上座) | 喪主の隣、または親族席の筆頭 |
| 税務上の扱い | 特になし | 葬儀費用を相続財産から控除可能 |
喪主と施主の決め方・優先順位
誰が喪主・施主をやるべきか、法的な決まりはありませんが、古くからの慣習や優先順位が存在します。
喪主の決め方(優先順位)
基本的には「故人との血縁関係が深い順」に選ばれます。かつては家督を継ぐ「長男」が絶対的でしたが、現在は配偶者が務めることも一般的です。
- 配偶者:故人の夫や妻。
- 長男:配偶者が高齢、または既に他界している場合。
- 次男以降の直系男子
- 長女・直系女子
- 親・兄弟姉妹
※故人に身寄りがいない場合は、友人が「友人代表」として喪主を務めることや、葬儀社や後見人が代行することもあります。
施主の決め方
施主は「経済力」や「契約能力」が重視されます。喪主が費用の支払いもできる場合は兼任しますが、以下のようなケースでは別人が立てられます。
ケース1:喪主が高齢の配偶者である場合
故人の妻(高齢)が喪主として挨拶などを行い、実務的な契約や支払いは長男が「施主」として行うパターンです。これが最も多い分担の形です。
ケース2:喪主が未成年の場合
親が亡くなり、子供が未成年の場合、形式上子供を喪主としますが、契約行為ができないため、親戚(叔父や祖父など)が施主となります。
ケース3:社葬(企業葬)の場合
企業の創業者が亡くなった場合などは、遺族の代表が「喪主」、企業(葬儀委員会)が「施主」となります。費用は会社が経費として負担します。
費用の負担と香典の扱いについて
金銭トラブルを避けるために、以下のルールを事前に親族間で共有しておくことをお勧めします。
Q. 葬儀費用は誰が払うべき?
基本的には施主が支払います。ただし、施主個人の貯金から出すのか、故人の遺産(相続財産)から出すのかは、相続人全員で話し合う必要があります。
一般的には、頂いた「香典」を支払いに充て、不足分を「故人の預貯金」または「施主の持ち出し」で補填します。
Q. 相続税の控除対象になるのは?
これが非常に重要なポイントです。葬儀費用を支払った人(施主)は、その金額分を相続財産から差し引いて相続税を申告することができます。
- 控除できるもの:通夜・告別式費用、火葬料、お布施、埋葬料、お車代など。
- 控除できないもの:香典返し費用、墓地・仏壇の購入費用、法事(四十九日など)の費用。
節税の観点から、将来的に資産を多く相続する予定の人が施主となり、費用を負担した方が有利になるケースがあります。
喪主と施主を兼任する場合の注意点
現代の核家族化においては、喪主と施主を兼任するケースが9割以上です。その場合のメリットとデメリットを整理します。
メリット
- 意思決定が早い(相談する手間が省ける)。
- お金の流れが透明化しやすい。
デメリット(注意点)
- 負担が集中する:悲しみの中で、挨拶などの精神的負担と、契約・支払いなどの実務的負担がのしかかります。
- サポートが必要:兼任する場合は、受付や会計係などを信頼できる親族や友人に依頼し、負担を分散させることが不可欠です。
よくあるトラブルと回避策
1. 「誰が払うか」で揉める
「長男が喪主だから全額払え」「いや、遺産から出すべきだ」という争いです。葬儀前に「香典で賄えない分はどうするか」を取り決めておきましょう。法的にも、葬儀費用を誰が負担すべきか明確な規定はないため、話し合いが全てです。
2. 社葬における権限の範囲
社葬の場合、会社側(施主)と遺族側(喪主)で意向が食い違うことがあります。会社は「対外的な威厳」を重視し、遺族は「静かな別れ」を望む場合などです。事前に「葬儀委員長」を交えた綿密な打ち合わせが必要です。
まとめ:役割を理解して後悔のない葬儀を
喪主と施主の違いをまとめると以下のようになります。
- 喪主:儀式の顔。故人に寄り添い、弔問客へ感謝を伝える役割。
- 施主:儀式の財布。現実的な契約や支払いを管理する役割。
兼任する場合でも、分担する場合でも、最も大切なのは「故人を偲ぶ気持ち」を阻害しない体制を作ることです。負担が一人に集中しすぎないよう、親族や葬儀社と連携を取りながら準備を進めてください。
もし今、急ぎで葬儀社を探している、あるいは費用の分担で迷われている場合は、まずは複数の葬儀社に見積もりを取り、担当者に「施主代行のサポート範囲」や「費用の内訳」を確認することから始めてみましょう。



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