喪主のやることはこれだけ!ベテラン葬儀担当が教える「負担を減らす」準備術
こんにちは。葬儀業界に身を置いて早20年、これまで数千件のお見送りに立ち会わせていただきました。私自身も一人の子供を持つ母であり、親を見送る経験もしました。
突然、大切な方が亡くなられたとき、悲しむ間もなく押し寄せてくるのが「喪主としての務め」です。「何から手をつければいいのかわからない」「失礼があったらどうしよう」……そんな不安に押しつぶされそうになっている方を、私は現場でたくさん見てきました。
でも、安心してください。喪主が「すべて」を完璧にこなす必要はないのです。
今回は、長年の経験から導き出した「本当に喪主がやらなければならないこと」と、プロだけが知っている「負担を劇的に減らすための準備術」を、余すことなくお伝えします。この記事が、あなたの心の荷物を少しでも軽くする手助けになれば幸いです。
1. 喪主の役割とは?「決定者」であって「作業員」ではありません
まず最初に、一番大切なマインドセットをお伝えします。多くの真面目な方ほど、連絡から接待、手続きまで全て自分でやろうとしてしまいます。しかし、喪主の最大の役割は「決断すること」と「故人に寄り添うこと」の2つだけです。
実務的な作業は、葬儀社のスタッフや親族、世話役の方に任せてしまって構いません。私が担当するご家族にも、最初必ずこうお伝えしています。「雑務は私たちがやります。〇〇様は、故人様のお顔を少しでも長く見ていてあげてください」と。
2. 【時系列別】喪主がやること・流れの完全リスト
ここからは、実際に何を決断し、行動すればよいのかを時系列で整理しました。この流れさえ把握しておけば、パニックになることはありません。
フェーズ1:ご逝去~搬送(直後~数時間以内)
大切な方が息を引き取られた直後、悲しみの中で最初に行うべき動きです。
① 近親者への連絡
まずは「臨終に立ち会ってほしい」「すぐに来てほしい」という範囲のごく親しい方だけに連絡をします。それ以外の方への訃報連絡は、葬儀の日程が決まってからで十分です。
② 死亡診断書の受け取り
医師から「死亡診断書」を受け取ります。これは後の火葬許可証の申請や、保険の手続き等で必要になる超重要書類です。※受け取ったらすぐにコンビニ等で5〜10枚ほどコピーをとっておくことを強くおすすめします。原本は役所に提出してしまいます。
③ 搬送・安置場所の決定
病院では長時間のご遺体安置ができないことがほとんどです。まずは「どこに連れて帰るか」を決めます。
- 自宅:住み慣れた家でゆっくり過ごせますが、布団の準備や部屋の片付けが必要です。
- 葬儀社の安置施設:面会時間に制限がある場合もありますが、保冷管理などが万全で家族の負担が一番少ないです。
④ 葬儀社への連絡
ここで葬儀社を手配します。まだ依頼する葬儀社が決まっていなくても、「搬送だけ」を依頼することが可能です。焦って契約する必要はありません。
フェーズ2:葬儀社との打ち合わせ(半日以内)
ご遺体を安置した後、葬儀社と詳細を決めます。ここが喪主としての「決断」の山場です。
① 喪主の決定
一般的には配偶者、長男、長女の順で務めますが、最近では「高齢の母に代わって長男が実務を行う」といったケースも増えています。
② 葬儀形式と予算の決定
ここが最も悩みどころです。
- 一般葬:会社関係や近所の方も呼ぶ従来型。
- 家族葬:親族とごく親しい知人のみ。
- 一日葬:通夜を行わず、告別式のみ。
- 直葬(火葬式):儀式を行わず火葬のみ。
プロのアドバイスとしては、「後で悔やまないか」を基準に選ぶことです。「費用を抑えたいから直葬」と即決した後で、「やっぱりお経くらいあげてあげたかった」と後悔される方もいらっしゃいます。
③ 日程と場所の決定
火葬場の空き状況、僧侶(宗教者)の都合、親族の到着時間を考慮して決定します。
④ 遺影写真の選定
ピントが合っていて、故人らしい表情の写真を選びます。データでも現像された写真でも、今は技術で綺麗に加工できます。
フェーズ3:通夜・告別式の準備(当日まで)
① 訃報の連絡
日程と場所が決まったら、関係者へ連絡します。最近はLINEやメールでの連絡も一般的になりましたが、文面は丁寧に作成しましょう。
② 供花・供物のとりまとめ
「お花を出したい」という申し出があった場合、葬儀社に取り次ぎます。ここは親族の中から「受付係」を決めて任せるとスムーズです。
フェーズ4:通夜・告別式本番
① 挨拶(喪主挨拶)
通夜の終了時、告別式の終了時(出棺前)、精進落としの席などで挨拶を行います。上手く話す必要はありません。カンニングペーパーを見ながらで全く問題ありません。
② お布施の手渡し
僧侶へのお礼をお渡しします。タイミングは葬儀社スタッフが教えてくれますので、指示に従えば大丈夫です。
3. ベテラン担当者が教える「負担を減らす」3つの裏技
ここからは、教科書的なマニュアルには載っていない、私の経験則に基づいた「楽になるためのテクニック」をご紹介します。
その1:挨拶文は「定型文」を読み上げるだけでいい
「気の利いたことを言わなきゃ」と思うとプレッシャーになります。しかし、参列者は喪主の演説を聞きに来ているわけではありません。悲しみの中にいる姿を見守りに来ているのです。
「本日はお忙しい中、〇〇のためにお集まりいただきありがとうございました。生前のご厚情に深く感謝いたします」
これだけの定型文を、紙を見ながらゆっくり読む。それだけで十分、心は伝わります。
その2:役割分担表を葬儀社に作ってもらう
受付、会計、接待係……。これらを誰にお願いするか、頭の中で考えると混乱します。葬儀社にお願いすれば「役割分担リスト」のひな形を持っています。そこに名前を埋めていくだけの状態にしてもらいましょう。
その3:事前の「会員登録」や「相談」をしておく
実はこれが一番の負担軽減策です。亡くなってから探す葬儀社と、事前に相談していた葬儀社では、安心感が天と地ほど違います。会員登録をしておくだけで数十万円安くなるケースも多々あります。「縁起でもない」と思わず、元気なうちに資料請求だけでもしておくことが、将来の自分を助けます。
4. 葬儀後の手続き(アフターフォロー)
葬儀が終わっても、手続きは続きます。しかし、これも期限があるものとないものに分ければ怖くありません。
急ぐもの(14日以内など)
- 年金受給権者死亡届
- 健康保険の資格喪失届
- 世帯主変更届
急がなくていいもの(数ヶ月以内)
- 相続税の申告(10ヶ月以内)
- 銀行口座の名義変更
- 不動産登記の変更
最近では、これらの手続きを一括代行してくれる司法書士や行政書士を紹介してくれる葬儀社も増えています。無理せず専門家を頼りましょう。
5. よくある質問(FAQ)
Q. 家族葬の場合、香典は辞退すべきですか? A. どちらでも構いませんが、最近は辞退されるケースが6割程度です。ただし、辞退すると香典返しを用意する手間が省ける一方、後日自宅にお供えを持って来訪される方が増え、その対応が大変になるというデメリットもあります。 Q. 遠方の親戚にはどこまで声をかけるべきですか? A. コロナ禍を経て、「高齢の方は無理に来なくても良い」という風潮が定着しました。「お知らせはするが、参列は無理しないでほしい」と一言添えるのがスマートです。 Q. 喪服を持っていないのですが、買うべきですか? A. 葬儀社のレンタルを利用するのが一番手軽で経済的です。体型が変わっていることも多いので、慌てて買いに行くより、その場でサイズを合わせてレンタルすることをお勧めします。
最後に:完璧な喪主でなくていい
最後までお読みいただきありがとうございます。
記事の中でもお伝えしましたが、喪主だからといって、涙をこらえて気丈に振る舞う必要はありません。あなたが悲しむ姿を見せることで、周りの親族も「一緒に悲しんでいいんだ」と思えるのです。
準備や段取りは、私たちプロが黒子として全力で支えます。どうか、ご自身のお体と心を一番に守ってください。
もし、今まさに不安を感じていらっしゃるなら、24時間365日、いつでもご相談ください。一言お話しするだけで、ふっと肩の荷が下りることもありますよ。



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