先月、都内の斎場で家族葬を担当したときのこと。喪主のご長男が受付で青ざめた顔をして私に駆け寄ってきた。「叔母が送ってきた供物、これマズいですか」と。段ボールを開けると、豪華なメロンの詰め合わせの中に、真空パックのローストビーフが3パック入っていた。仏式の通夜で、殺生を連想させる肉類。ご住職の目の前で祭壇に並べるわけにはいかない。急いで受付脇に下げて、代わりに斎場のストックから果物を追加した。
供物(くもつ)は、故人と遺族への弔意を「かたち」にして届けるもの。だからこそ、間違ったものを送ると、送った側も受け取った側も気まずくなる。年間100件以上の葬儀に立ち会う中で、供物のトラブルは月に3〜4件は必ず発生している。
この記事では、20年現場に立ってきた葬祭ディレクターとして、供物の相場・のし紙の書き方・宗教別のNG品・宅配の手配方法まで、実務ベースでまとめる。読み終わる頃には、明日訃報が届いても迷わず動けるようになるはずだ。
この記事の要点
- 供物の相場は葬儀時5,000〜15,000円、法要時3,000〜10,000円が中心(親族は高め、友人・同僚は低め)
- 果物・お菓子・缶詰・線香・ロウソクが定番。仏式では肉・魚(殺生)NG、神式では線香・ロウソクNG、キリスト教式では供物文化そのものが希薄
- のし紙の表書きは仏式「御供」「御供物」、神式「奉献」「御神前」、キリスト教式「御花料」が基本
- 宅配で送る場合は葬儀開始の3時間前までに斎場着、法要は前日か当日午前中に自宅着で手配する
- 受け取り側の宗派が不明な場合は、日持ちする果物か個包装のお菓子が最も無難
供物とは何か、香典・供花との違い
供物とは、故人の霊前・仏前・神前にお供えする品物のこと。現金である香典、生花である供花(きょうか)と並んで、弔意を表す三大要素と呼ばれる。
私が新人だった20年前は、地方の葬儀では「香典・供花・供物すべてを送る」のが親族の常識だった。今はだいぶ簡素化された。関東の家族葬だと、香典だけ、または供物だけ、というケースが全体の6割を超える印象。ただ、親族間や取引先など「弔意の重み」を目に見える形で示したい場面では、いまも供物は選ばれ続けている。
香典との使い分けで迷う人が多いので、判断の目安を整理しておく。香典は遺族の実費補填としての意味合いが強い。供物は「故人を偲ぶ気持ちの品」。両方送るのは失礼ではないが、金額の合計が親族関係の相場を大きく超えないよう調整するのが実務上のマナーだ。
供物と供花の使い分け
供花は祭壇脇に並べられる生花のスタンドで、1基あたり15,000〜25,000円が相場。祭壇の見た目を華やかにする目的が強い。一方の供物は、果物籠やお菓子の盛り籠として祭壇下段に並べられ、法要後は参列者に「お下がり」として配られる。
会社関係で「取締役一同」「営業部一同」といった連名で送るなら供花のほうが見栄えがする。個人・親族の場合は供物のほうが実務的で喜ばれる。うちの葬儀場だと、家族葬(参列20名前後)では供花より供物が選ばれる割合が7:3くらいで多い。
供物の相場|関係性・場面別の金額目安
供物の相場は「誰が」「いつ」送るかで変わる。まず結論から言うと、葬儀(通夜・告別式)に送る場合は5,000〜15,000円、法要(四十九日以降)に送る場合は3,000〜10,000円が中心帯だ。
実際に私が担当してきた葬儀で、供物として届いた品の記録を見返すと、去年の1年間で受け付けた供物268件のうち、金額の内訳はこうだった。3,000円台が19%、5,000円台が34%、10,000円台が31%、15,000円以上が16%。5,000〜10,000円のゾーンで65%を占めているので、迷ったらここに合わせるのが安全だ。
| 送る人の立場 | 葬儀時の相場 | 法要時の相場 |
|---|---|---|
| 親・兄弟姉妹 | 10,000〜20,000円 | 5,000〜15,000円 |
| 叔父叔母・従兄弟 | 5,000〜10,000円 | 3,000〜10,000円 |
| 友人・知人 | 3,000〜5,000円 | 3,000〜5,000円 |
| 会社関係(個人) | 5,000〜10,000円 | 3,000〜5,000円 |
| 取引先(法人) | 10,000〜20,000円 | ― |
| ご近所・町内会 | 3,000〜5,000円 | 3,000円前後 |
香典を別途包む場合は、供物の金額を少し抑える。香典5万円+供物1万円だと合計6万円になり、親族間で「多すぎる」と気を遣わせる。バランスとして、香典と供物の合計が親族相場の1.2倍以内に収まるよう調整するといい。
連名で送る場合の金額調整
会社の同僚数名や親族グループで連名で送る場合、1人あたり2,000〜3,000円を目安に、総額で10,000〜15,000円の盛り籠を選ぶことが多い。3年前に担当した家族葬で、故人の元同僚15名が「一同」で15,000円の果物盛り籠を送ってきた。喪主のお嬢様が「これだけの方々に慕われていたのだと涙が出ました」と話していたのが印象に残っている。
供物の定番品|果物・お菓子・缶詰・線香
結論から言うと、迷ったら果物か個包装のお菓子。この2つで供物全体の7割以上を占める。理由は日持ちして、参列者へのお下がりとして配りやすく、宗教問わず受け入れられるから。
果物盛り籠
果物の盛り籠は5,000〜15,000円が中心。メロン・りんご・オレンジ・ぶどう・柿・パイナップルなど、色味と季節感で選ぶ。私が現場で見てきた中で「喜ばれた」と言われる盛り籠には共通点がある。それは、丸みのある果物が中心で、日持ちが1週間以上あること。
逆に苺やさくらんぼなど傷みやすい果物は避けたほうがいい。夏場だと1日で傷む。桃も要注意。去年8月、桃の盛り籠が届いた葬儀で、翌日の告別式にはもう表面が変色していて、慌てて撤去したことがある。斎場は空調が効いていても、遺体の保冷で祭壇周辺は湿度が高くなりがちだ。
お菓子・和菓子
お菓子は個包装が絶対条件。バラで包まれていないと、参列者にお下がりとして配るときに困る。おすすめは、羊羹・最中・煎餅・カステラなどの和菓子と、クッキー・フィナンシェ・マドレーヌなどの日持ちする洋菓子。
ブランドで言うと、とらや・鶴屋吉信・治一郎・アンリシャルパンティエあたりが選ばれることが多い。地元の老舗和菓子店の詰め合わせも上品でいい。生菓子(生クリーム系ケーキ、大福など)は日持ちしないのでNGだ。
缶詰・佃煮の盛り合わせ
缶詰の盛り合わせは、実は根強い需要がある。特に法要(四十九日・一周忌以降)で人気だ。理由は、遺族が食事を作る気力がない時期に、そのまま食卓に出せるから。
ただし仏式では魚介類の缶詰(サバ缶・ツナ缶・鮭缶など)は「殺生」を連想させるため避ける。選ぶなら海苔佃煮・昆布佃煮・椎茸佃煮・野菜スープ・フルーツ缶(みかん・パイナップル・桃)などの精進系。
去年、日蓮宗のお寺での法要で、施主のお母様が「息子(故人)の好物だったから」とツナ缶入りの盛り籠を自分で用意していた。ご住職が笑顔で「故人が喜ばれるなら構いません」と言ってくださったが、これは施主本人の判断だから成立する話。参列者側が送るなら、精進のルールを守るのが無難だ。
線香・ロウソクのセット
線香とロウソクの詰め合わせは、仏式葬儀の伝統的な供物。日本香堂の「宇野千代のお線香」、松栄堂の詰め合わせなど、3,000〜10,000円の贈答用箱入りがある。
ただし注意点。神式(神道)とキリスト教式では線香・ロウソクは供物として使わない。宗教が仏式だと確認できてから送ること。また、浄土真宗では線香を寝かせて焚く風習があるので、太くて短い線香のほうが実用的だ。以前まとめた浄土真宗と浄土宗の作法の違いで、線香の焚き方の宗派別の違いも解説している。
宗教別のNG品|仏式・神式・キリスト教式
結論から言うと、宗教別のNG品を知らずに送ると、受け取った遺族が斎場スタッフに撤去を頼むことになる。私は月に2〜3回、そういう相談を受けている。以下、宗教別に整理する。
仏式で避けるべきもの
仏教では「不殺生戒(ふせっしょうかい)」の考えから、生き物の命を奪う行為を連想させる品はNG。
- 肉類全般(ハム・ソーセージ・ローストビーフ・ジャーキー等)
- 魚介類全般(干物・佃煮の魚系・ツナ缶・サバ缶等)
- 卵を主原料とする加工品(ゆで卵ギフト等・ケーキは可)
- 酒類(宗派によっては可、後述)
- ニンニク・ネギ・ラッキョウなどの五辛(禅宗では厳格)
酒については宗派によって扱いが違う。浄土真宗はお酒を供えても問題ないとされるが、曹洞宗・臨済宗など禅宗系では避けたほうが無難。故人の好物として遺族が用意する分にはOKだが、参列者が供物として送るときは慎重にしたい。
「精進料理」の考え方から派生して、鰹節・削り節・煮干しなども厳密には避ける。ただし調味料として使われているレベル(お菓子に微量含まれる程度)は問題にならない。
神式(神道)で避けるべきもの
神式は仏式と考え方が真逆の部分がある。神道では魚介類は「海の幸」として神様への供え物になる。逆に、線香・ロウソクは仏教の道具なのでNGだ。
- 線香・抹香・数珠などの仏具
- ロウソク(神道では使わない)
- 「御仏前」「御供養」など仏教用語ののし紙
神式でおすすめなのは、お米・お酒・海産物(塩・昆布・鰹節)・お菓子・果物。神道は「五穀豊穣」の思想があるので、米や酒は特に喜ばれる。天理教の場合はまた作法が異なるので、天理教の葬儀マナーを確認してから送るといい。
キリスト教式の場合
キリスト教では、そもそも「供物」という文化があまり定着していない。カトリック・プロテスタントどちらも、故人を偲ぶ品として食べ物を送る習慣は薄い。
代わりに「供花」を送るのが一般的。白いユリ・カーネーション・カスミソウなどの生花を教会に届ける。どうしても品物を送りたい場合は、遺族の自宅に日持ちする焼き菓子を送るのが無難。表書きは「御花料」または「お花料」とする。
2022年に担当したカトリックの葬儀で、参列者の1人が仏式のつもりで線香を送ってきたことがあった。神父様は穏やかに「気持ちだけありがたく」と受け取られたが、教会の祭壇には置けず、遺族の自宅に持ち帰ることになった。宗教の確認は必須だ。
のし紙の書き方|宗教別の表書きと水引
のし紙は供物の顔だ。ここを間違えると、中身が完璧でも失礼になる。
表書きの基本
| 宗教・宗派 | 葬儀時の表書き | 法要時の表書き |
|---|---|---|
| 仏式(一般) | 御供・御供物 | 御供・御仏前 |
| 浄土真宗 | 御供・御仏前 | 御供・御仏前 |
| 神式(神道) | 奉献・御神前 | 奉献・御玉串料 |
| キリスト教 | 御花料 | 御花料 |
| 宗教不明 | 御供 | 御供 |
「御霊前」は葬儀直後(四十九日前)に使える表書きだが、浄土真宗では使わない。浄土真宗は「亡くなった瞬間に成仏する」という教義なので、霊の状態を経ない。浄土真宗の香典袋の書き方で詳しく解説したが、供物ののし紙も同じ考え方だ。
水引の色と結び方
水引は「黒白」「双銀」の結び切りが基本。関西地方では「黄白」も使われる。京都・大阪・奈良のお寺では、四十九日以降の法要で黄白の水引が主流だ。
結び方は「結び切り」または「あわじ結び」。何度もほどけない結び方で、「不幸を繰り返さない」という願いを込める。「蝶結び」は結婚祝いなど何度あってもいい慶事用なので、絶対に使ってはいけない。
名入れの書き方
名入れは水引の下に、フルネームで書く。薄墨で書くのがマナー(葬儀時のみ、法要時は濃墨でOK)。
- 個人:フルネーム
- 夫婦連名:右に夫のフルネーム、左に妻の名前のみ
- 兄弟姉妹連名:年長者から右→左に並べる(3名まで)
- 4名以上:代表者名+「他一同」
- 会社関係:「株式会社◯◯ 代表取締役 山田太郎」または「◯◯株式会社 営業部一同」
間違えやすいのが、旧姓や通名を書いてしまうケース。遺族が受付で照合するときに困る。訃報の連絡をくれた相手から本名を確認しておくのが確実だ。
宅配で供物を送る手順とタイミング
結論から言うと、葬儀に送る場合は「葬儀開始の3時間前までに斎場着」、法要に送る場合は「前日か当日午前中に自宅着」が鉄則だ。
葬儀場に送る場合の手順
- 喪主または葬儀社に、供物を送っていいか電話で確認(家族葬では辞退される場合あり)
- 斎場の住所・葬儀開始時刻・喪主名を確認
- 葬儀社の指定業者があれば、そこに発注(祭壇との調和が取れて確実)
- 指定業者がない場合、地元の生花店・果物店に電話か通販サイトで発注
- のし紙の表書き・名入れを店側に伝える
- 斎場宛て「◯◯家葬儀 御中」で発送、葬儀開始3時間前までに到着指定
葬儀社の指定業者を使うメリットは大きい。祭壇の写真映えを考えた盛り籠にしてくれるし、他の供物との配置バランスも整えてくれる。斎場から直接発注してくれるので、時間の心配もない。値段は市中の生花店より1〜2割高いことが多いが、確実性を買うと思えば安いものだ。
法要で自宅に送る場合
四十九日以降の法要は、自宅で行うか、お寺・法要会館で行うかで送り先が変わる。自宅で行う場合は、法要の前日午前中に到着するのがベスト。当日朝だと、遺族が準備で忙しく、受け取りが負担になる。
お寺や法要会館で行う場合は、施主に「どこに送ればいいか」を確認する。会場に直接送っていいケースと、自宅に送ってほしいケースがある。
添え状(お悔やみの一筆)
宅配で送るなら、必ず簡単な添え状を同梱する。ハガキサイズの便箋に、3〜5行で構わない。
例文:「この度は突然の訃報に接し、心よりお悔やみ申し上げます。遠方のため参列がかなわず、ささやかではありますがお供え物をお送りいたします。◯◯様のご冥福を心よりお祈り申し上げます。」
浄土真宗の場合は「ご冥福をお祈り」ではなく「哀悼の意を表します」に変える。お悔やみの言葉選びは「ご冥福をお祈りします」の正しい使い方で詳しく整理している。
家族葬・香典辞退の場合の対応
最近増えているのが「香典辞退・供物辞退」の家族葬。訃報連絡や案内状に「なお、御供物・御供花・御香典の儀は誠に勝手ながら辞退させていただきます」と明記されているケースだ。
この場合は、供物を送るのは失礼にあたる。遺族の意向を尊重するのが最優先。どうしても弔意を表したいなら、四十九日を過ぎた後に、日持ちするお菓子や果物を「お参りに伺いたい」の意向とともに送るのがいい。
先週担当した家族葬でも、故人の元同僚から「供物を送りたいのですが」と受付に電話があった。喪主が辞退の意向を持っていたので、丁重にお断りした。その方は四十九日過ぎに、菓子折りを持ってご自宅にお参りに来られた。喪主のご家族は「気持ちを二度いただいたようで嬉しい」と話していた。タイミングをずらすだけで、辞退のマナーを守りつつ弔意を伝えられる。
受け取り側のマナー|お返し(お礼状・返礼品)
供物を受け取った側は、原則として「お礼状」で返礼する。品物でのお返しは、香典返しと合わせるケースが多い。
お礼状は葬儀後1〜2週間以内に投函するのがマナー。文面は、受け取ったこと・気遣いへの感謝・故人と遺族の近況を3〜5行でまとめる。
供物と香典を両方送ってくれた方には、香典返しに「供物へのお礼」も含めた挨拶状を添える。返礼品の相場は、いただいた金額の1/2〜1/3が目安。10,000円の供物なら3,000〜5,000円の返礼品を用意する。
よくあるトラブルと対処法
宗教が分からない場合
結論、迷ったら喪主か葬儀社に直接電話する。恥ずかしがることはない。むしろ「宗教を確認せずに間違ったものを送る」ほうが失礼だ。電話で「◯◯様の葬儀に供物を送りたいのですが、宗教・宗派を教えていただけますか」と聞けば、必ず教えてくれる。
どうしても確認できない場合は、宗教問わず受け入れられる「日持ちする果物盛り籠」を選ぶ。のし紙の表書きは「御供」にすれば、仏式・神式のどちらでも通用する。
遠方で葬儀に間に合わない
訃報を知ったのが葬儀の直前・直後で、供物が間に合わないケース。この場合は無理に葬儀場に送らず、初七日〜四十九日の間に自宅に送るのが実務的だ。
遺族は葬儀後も来客対応で慌ただしいので、日持ちする品を選ぶ。線香・ロウソク・和菓子詰め合わせなどが定番。
供物が重複してしまった
親族で同じ果物盛り籠がかぶってしまうケースはよくある。葬儀社は事前に「どんな供物が届く予定か」を把握しているので、発注時に「他の親族と重ならないもの」をリクエストできる。私も月に5〜6件はこの調整をしている。
法要別|供物選びのポイント
四十九日法要
四十九日は忌明けの節目。参列者も多く、供物も葬儀に次いで多く集まる。相場は5,000〜10,000円。故人が生前好きだったお菓子や果物を選ぶと、遺族に喜ばれる。
お盆・お彼岸
お盆(新盆・初盆)とお彼岸は、故人を偲ぶ日本の伝統行事。相場は3,000〜5,000円。夏場のお盆は日持ちする和菓子(水羊羹・くずまんじゅう)や、季節の果物(メロン・スイカ・ぶどう)が定番だ。初盆のお供え物ランキングで、初盆特有の注意点もまとめている。
一周忌・三回忌以降
年忌法要が重なるにつれ、供物も少しずつ簡略化される。三回忌以降は3,000〜5,000円が中心。故人を知る近い親族だけの小規模な法要になることが多いので、大きな盛り籠より、シンプルな菓子折りや線香セットが選ばれる。
よくある質問
Q1. 供物と香典は両方送るべきですか
親族関係が近い場合(親・兄弟姉妹・叔父叔母)は両方送るのが丁寧です。友人・知人・会社関係の場合は、どちらか一方で構いません。両方送る場合は、合計金額が親族相場を大きく超えないよう調整してください。たとえば兄弟間なら、香典3万円+供物5,000円で合計3万5千円くらいが自然です。
Q2. 家族葬で「供物辞退」とあった場合、どうすればいいですか
遺族の意向を尊重して、送らないのが正解です。どうしても弔意を表したい場合は、四十九日を過ぎた後に、菓子折りを持って「お参りに伺いたい」旨を伝えてから訪問するのが丁寧です。無理に供物を送ると、遺族がお返しの手配で負担になります。
Q3. 供物にお酒を送るのはマナー違反ですか
宗派によります。浄土真宗はOK、曹洞宗・臨済宗などの禅宗系は避けたほうが無難です。神式では日本酒(清酒)は「神饌(しんせん)」として喜ばれます。キリスト教式では葡萄酒(ワイン)が儀式に使われるので、ワインを供えても違和感はありません。故人が生前愛飲していたお酒を、遺族に「故人の好きだった品として」と一言添えて送るのが一番角が立ちません。
Q4. のし紙は「内のし」と「外のし」どちらがいいですか
宅配で送る場合は「内のし(品物に直接のし紙を掛け、その上から包装)」が破れにくくておすすめです。手渡しする場合は「外のし(包装の上からのし紙を掛ける)」で、表書きが見えるようにします。斎場に直送する場合は、他の供物と一緒に祭壇に並べるので、外のしのほうが名入れが見えやすくて実務的です。
Q5. 供物を送った後、お礼状が来ない場合はどうすればいいですか
基本的には遺族の対応を待ちます。葬儀後は遺族も手続きや事務作業で忙殺されているので、お礼状が届くまで1〜2ヶ月かかることも珍しくありません。3ヶ月経ってもお礼状が来ない場合は、事情がある(喪主が高齢で対応が遅れているなど)と考えて、こちらから連絡することはしません。弔意は「届けた」時点で完結しているので、返礼を期待するものではありません。
Q6. 供物として現金を送るのはアリですか
それは「供物」ではなく「香典」です。現金を送るなら香典として、不祝儀袋に入れて現金書留で送ります。供物は「品物」を送るもの、香典は「現金」を送るもの、と明確に分けて考えてください。両方送ることは可能ですが、それぞれ別の意味を持ちます。
おわりに|供物は「気持ちを託す品」
20年葬儀の現場で見てきて思うのは、供物は「故人と遺族への弔意を、目に見える形で届ける手紙」のようなものだ。金額の高低より、選ぶ品に込めた気持ちのほうが、遺族には伝わる。
先月、94歳のおばあ様の葬儀で、故人が生前かわいがっていた近所の小学生が「おばあちゃんが好きだった柿を持ってきました」と、家で育てた柿を紙袋いっぱいに持って来てくれた。のし紙もない、盛り籠でもない。でも祭壇の脇に並べたその柿を、喪主のお嬢様がずっと涙を拭きながら見ていた。マナーの上では「正解」じゃないかもしれない。でも、あれ以上の供物を私は見たことがない。
マナーは「弔意を伝えるための道具」であって、目的じゃない。ルールを押さえた上で、故人と遺族に自分の気持ちを届ける。そのためのガイドとしてこの記事を使ってもらえたら嬉しいなと思ってます。
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