戒名・法名の相場とランク完全ガイド
戒名・法名の相場とランク完全ガイド【2025年版】宗派別の値段や仕組み、トラブル回避術まで徹底解説
葬儀の準備や終活を進める中で、多くの人が直面する大きな疑問。それが「戒名(かいみょう)」です。
「なぜ名前をつけてもらうだけで数十万円もかかるのか?」「ランクによって何が違うのか?」という金銭的な不安や、「自分の宗派では何と呼ぶのか?」という基本的な疑問を持つ方は少なくありません。
近年では家族葬の増加や宗教観の変化により、戒名に対する考え方も多様化していますが、菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)との関係においては、依然として非常に重要な要素です。
この記事では、戒名(浄土真宗では法名)の基礎知識から、ランクごとの具体的な値段相場、宗派別の特徴、そして近年増えている「戒名トラブル」の回避法まで、8,000文字規模で徹底的に解説します。
1. そもそも「戒名」とは何か?【基礎知識】
まずは、戒名の本来の意味と、その構成について正しく理解しましょう。
戒名の本来の意味
本来、戒名とは「仏教の戒律を守ることを誓った弟子に与えられる名前」のことです。死後につける名前と思われがちですが、本来は生前に出家したり、在家信者として仏門に入ったりする際に授与されるものでした。
現在では、故人が迷わず極楽浄土へ行けるようにという願いを込めて、葬儀の際に僧侶から授けてもらう(没後作僧)のが一般的となっています。
「法名」「法号」との違い
一般的に「戒名」という言葉が使われますが、宗派によって呼び方が異なります。ここを間違えると失礼にあたる場合があるため注意が必要です。
- 戒名(かいみょう): 天台宗、真言宗、曹洞宗、臨済宗、浄土宗など
- 法名(ほうみょう): 浄土真宗(戒律がないため「戒」の字を使わない)
- 法号(ほうごう): 日蓮宗
戒名の構成(院号・道号・戒名・位号)
私たちが普段「戒名」と呼んでいるものは、実は長い文字列の一部です。一般的には以下の4つのパーツで構成されています。
| 構成要素 | 読み方 | 解説 |
|---|---|---|
| 院号 | いんごう | 最上位の称号。元々は皇族や高僧、寺院への多大な貢献者に贈られたもの。現在でも社会的貢献度が高い人や、お寺への貢献度が高い人に付けられます。(例:〇〇院) |
| 道号 | どうごう | 戒名の上につく名前。故人の性格や趣味、生前の別名などから文字を取ることが多いです。(例:海山、清風など) |
| 戒名 | かいみょう | 本来の意味での名前。2文字で構成され、俗名(生前の名前)から1文字、尊敬する仏様やお経から1文字取ることが一般的です。 |
| 位号 | いごう | 名前の下につく尊称。性別や年齢、信仰の深さ(ランク)によって変わります。(例:居士、大姉、信士、信女) |
2. 戒名のランクと値段の相場一覧
戒名料(お布施)の金額は、主に一番下の「位号」と一番上の「院号」の有無によって大きく変わります。
※以下はあくまで一般的な目安であり、地域やお寺との関係性によって変動します。
【全体像】ランク別・戒名料の相場早見表
| ランク(位号) | 対象・特徴 | 相場目安 |
|---|---|---|
| 院居士・院大姉 (いんこじ・いんだいし) | 最高位。寺院や社会への多大な貢献があった人。 院号+居士/大姉の組み合わせ。 | 100万円以上 (数百万になることも) |
| 院信士・院信女 (いんしんじ・いんしんにょ) | 院号がつくが、位号は一般的。 浄土宗などで見られる形式。 | 70万円 ~ 100万円 |
| 居士・大姉 (こじ・だいし) | 仏教への信仰が篤い人。一般的に「上のランク」とされる。 初盆や法要を丁寧に行う家に多い。 | 50万円 ~ 80万円 |
| 信士・信女 (しんじ・しんにょ) | 最も一般的なランク。多くの人がこの戒名を授かる。 「釈・釈尼」(浄土真宗)もこの価格帯。 | 30万円 ~ 50万円 |
| 水子・童子・童女 | 未成年で亡くなった子供につけられる。 | 10万円 ~ 30万円 |
なぜ「ランク」で値段が違うのか?
「死後にまで格差があるのか」と疑問に思うかもしれません。しかし、仏教的な建前としては「戒名料=名前の代金」ではありません。
お布施はあくまで「ご本尊へのお供え」であり「寺院護持のための寄付」です。位が高い戒名は、それだけ生前に寺院へ貢献した、あるいは修行を積んだ証とされます。
葬儀の際に高いランクの戒名を授かることは、「本来なら長年の修行や貢献が必要な位を、多額のお布施(寄付)をすることで認めてもらう」という意味合いが含まれているのです。
3. 【宗派別】戒名の特徴と相場の違い
宗派によって戒名のルールや相場感は異なります。自分の家の宗派を確認し、適切な相場を知っておきましょう。
① 浄土真宗(本願寺派・大谷派など)
特徴:
「戒名」ではなく「法名(ほうみょう)」と呼びます。
原則として位牌を作りません(過去帳に記す)。また、霊魂という概念がないため、位号(居士や信士など)も基本的には使いません。
- 構成: 釈(しゃく)+法名2文字(例:釈〇〇)
- 院号法名: お寺への貢献度が高い場合、「院号」+「釈」+「法名」となります。
相場:
他の宗派に比べて安価な傾向があります。
- 釋・釋尼(一般): 10万円 ~ 30万円
- 院号法名: 50万円 ~ 100万円以上
② 曹洞宗・臨済宗(禅宗系)
特徴:
戒律を重んじる禅宗では、戒名の構成が厳格です。白木の位牌に「新帰元(しんきげん)」などの文字を書くこともあります。
- 信士・信女: 30万円 ~ 50万円
- 居士・大姉: 50万円 ~ 80万円
- 院号付き: 100万円 ~
③ 浄土宗
特徴:
戒名の中に「誉(よ)」という文字が入るのが特徴です(誉号)。
- 信士・信女: 30万円 ~ 50万円
- 居士・大姉: 50万円 ~ 70万円
- 院号付き: 80万円 ~
④ 真言宗・天台宗(密教系)
特徴:
戒名の上に、大日如来を表す梵字(ア字など)を記すのが特徴です。
- 信士・信女: 30万円 ~ 50万円
- 居士・大姉: 50万円 ~ 80万円
- 院号付き: 100万円 ~
⑤ 日蓮宗
特徴:
「法号」と呼びます。「日」の字が入る(日号)のが特徴で、ランクが高いものには「日」がつきます。
- 信士・信女: 30万円 ~ 50万円
- 院号・日号付き: 50万円 ~ 100万円以上(信士・信女でも院号がつくケースあり)
4. 戒名料のお渡しマナーとお布施の包み方
戒名料はいつ、どのように渡せばよいのでしょうか。
包み方と表書き
- 封筒: 白無地の封筒、または奉書紙(不祝儀袋の水引は地域によるが、双銀や黒白の結び切りが一般的。ただし、お布施は不祝儀ではないため水引なしが正式とされる場合も多い)。
- 表書き: 「御布施」または「御戒名料」。
※浄土真宗では「御法名料」とは書かず、すべて「御布施」としてまとめるのが通例です。 - 裏面: 住所、氏名、金額(金〇〇圓也)を旧字体で記載。
渡すタイミング
一般的には、通夜や葬儀の開式前に、僧侶控室へ挨拶に行く際にお渡しします。
葬儀社を通じて渡す場合や、後日お寺へ出向いて渡す場合もあるため、葬儀社の担当者に確認するのが確実です。
5. 最近増えている「戒名トラブル」と解決策
「高すぎる」「納得がいかない」といったトラブルを避けるために、知っておくべきリスクと対策を紹介します。
トラブル①:自分でつけた戒名・ネットで買った戒名を拒否された
状況:
インターネットの「戒名授与サービス(2〜3万円程度)」を利用したり、自分で考えた戒名を菩提寺(先祖代々のお墓があるお寺)に持ち込んだところ、納骨を断られた。
解説と対策:
菩提寺には「そのお寺の弟子として引導を渡す」という宗教的な役割があります。他所で勝手につけた戒名では、そのお寺の教義や格式に合わないため、納骨を拒否されるのは当然の権利とも言えます。
対策: 菩提寺がある場合は、必ず事前に住職に相談してください。「予算が厳しい」と正直に伝えれば、分割払いや低いランクでの対応を検討してくれる場合もあります。
トラブル②:後から高額な追加請求が来た
状況:
「お気持ちで」と言われたので少なめに包んだら、後日「これでは足りない」と言われた、あるいは高いランクの戒名を勝手につけられ、高額なお布施を要求された。
解説と対策:
対策: 曖昧にせず、事前にハッキリと金額を聞くことが重要です。「お気持ちで」と言われたら、「他の方はどれくらい包まれていますか?」「我が家は予算が限られているので、一番一般的なランクでお願いします」と具体的に確認・要望を伝えましょう。最近の僧侶は、金銭的な質問に対しても丁寧に答えてくれる方が増えています。
トラブル③:俗名(本名)で葬儀をしたが、後悔している
状況:
無宗教葬や家族葬で、戒名をつけずに俗名で葬儀を行った。しかし、四十九日を過ぎてから「やっぱり位牌くらい作りたい」「先祖と同じお墓に入れたい」と思ったが、戒名がないため断られた。
解説と対策:
対策: 多くの寺院墓地では、戒名があることを埋葬の条件としています。将来的に公営霊園や散骨を選ぶなら問題ありませんが、寺院墓地を利用する可能性があるなら戒名は必須です。没後でも戒名を授かることは可能(没後戒名)ですので、お寺に相談してみましょう。
6. 戒名料を安く抑える・賢く選ぶ3つの方法
どうしても費用を抑えたい場合、どのような選択肢があるのでしょうか。
方法1:生前戒名(生前授与)を受ける
生きているうちに戒名を授かることを「生前戒名(逆修)」と言います。
実は、死後につけるよりも生前につける方が、お布施の相場が安くなる傾向があります。また、自分で納得のいく文字を選んだり、住職とゆっくり話して決められるメリットがあります。
方法2:ランクにこだわらず「信士・信女」を選ぶ
見栄を張って「居士・大姉」や「院号」をつける必要はありません。
「先祖が居士だったから合わせるべき」と言われることもありますが、経済的に苦しい場合は正直に相談し、最もベーシックな「信士・信女」を選んでも、供養の本質に変わりはありません。
方法3:手次寺(菩提寺)を持たない選択
もし特定のお寺との付き合い(檀家関係)がないのであれば、葬儀社紹介の僧侶や、信頼できる僧侶派遣サービスを利用するのも一つの手です。
これらのサービスでは「戒名料込みで〇〇万円」と明朗会計になっていることが多く、費用をコントロールしやすくなります。ただし、将来的にどこに納骨するか(霊園か、お寺か)を考えておく必要があります。
7. まとめ:戒名は「値段」だけでなく「関係性」も重要
戒名(法名)の値段は、単なるネーミングライツ(命名権)の価格ではなく、寺院の維持やお坊さんへの感謝、そして故人の来世での平穏を願う「お布施」です。
- 相場はランクによって30万円〜100万円以上と幅がある。
- 宗派(浄土真宗など)によって呼び名や仕組みが違う。
- 菩提寺がある場合は、勝手な判断をせず必ず相談する。
- 「高いから」と安易にネットで済ませると、納骨できないリスクがある。
大切なのは、故人にふさわしい名前を、遺族が納得できる形で授かることです。
金銭的な事情がある場合は、恥ずかしがらずにお寺や葬儀社に相談してみてください。誠実に対応することで、きっと良い解決策が見つかるはずです。
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